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第六章 襲撃者達 3 終戦の時

 俺は、エミルが心配になってきた。2対1という不利な状況で戦っていて、さらに、精神にダメージを負いながらの苦しい戦いになっているエミルが、どこまで耐えられるのか、俺には、全く分からない。が、恐らく、その、エミルの精神がどこまで持つかが、勝負のカギになるはずだ。万が一、エミルが負けてしまうと、俺が、3対1という、超ハードな戦いを強いられる事となる。そうならないように、エミルには頑張ってほしかったんだが……どうやら、エミルの精神は、すでに、限界を迎えつつあるようだ。早くクロームを片付けないと、俺達の敗北は確実になってしまう。

 それを避けるために、俺は、クロムを片付けにかかる。俺は、一撃必殺の奥義、無詠唱『オーバーブレード』を発動し、無言のままに、クロムに斬りつけた。

 胴から血を流し、倒れるクロム。それを確認した俺は、クロムに背を向け、エミルの手助けへと向かう。

 が、その時。


「お返しするわ――『起死回生』!」


 そのクロムの声が俺の耳に届き、直後、俺の背中に激痛が走る。


「くっ……ああぁ――っ!」


 あまりの痛みに、俺はそう叫ぶ。そして、俺の体は、石畳の床に向けて、ゆっくりと倒れていく。俺は、確かに倒したはずなのに、どうして……と考えながら、最後の力を振り絞り、


「エミル……後は任せた……頼んだぞ……」


 と、エミルに届いたのかどうかすらも分からない程の微かな声で、エミルに伝えた。

 俺は、徐々に意識が薄れて行くのを確かに感じた。俺は、エミルが助けに来てくれるはずだ、と信じて、目蓋を閉じる。そして――

 俺の意識は、そこで途絶え、俺は、闇の中へと沈んで行ったのだった……。


      ・・・・・・・・・


 楽夜との戦いを終えたクロムが、エミルの元へと向かう。クロムが到着してしまうと、エミルの勝利は、絶望的な物となってしまう。

 一方で、クロームは、エミルの精神に、更なる負荷をかけていく。


「エミル、楽夜が死んだみたいよ。どうするの? エミルも、楽夜のように、なぶり殺してあげる?」


 だが、クロームのこの発言が、エミルの逆鱗に触れた。


「楽夜がなぶり殺されたとでも言いたい訳!? なぶり殺されるのは、あなた達よ!」


 そう言って、エミルが、クモの糸の繭の中から、出ようとする。が、クモの糸は伸縮し、エミルが出ようとしても、なかなか抜け出す事が出来ないのだ。


「無駄よ。足掻けば足掻くほど、あなたは体力を消耗するし、余計に糸が絡まって、もっと抜け出せなくなるの。さあ、さっさと諦めて、私達の軍門に下って……」

「待って、クローム。離れて。」


 クロムがそう言った瞬間、エミルが、クモの糸を引きちぎって、脱出してきた。


「どうやら、一筋縄では行かないようね。じゃあ、ここからは、単純な物理攻撃のぶつかり合いでいかせてもらうわよ!」


 クロムが、そう宣言した。これにより、勝負は終盤へと突入するのだった。

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