表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/111

第六章 襲撃者達 3 終戦の時

 俺は、エミルが、『悪夢連行』から抜け出せたのをチラリと見て確認した後、クロムを仕留めにかかっていた。


「くらえ! 『神速斬り』!」


 クロムも、流石にこの一撃には反応できず、ダメージを負ったようだ。が、クロムは、反撃を仕掛けてきた。


「反撃よ。『ムチの雨』!」


 そうクロムが言うと、俺に向けて、幾度にも渡って、大量のムチが襲いかかってくる。

 俺は、盾でムチを防ごうとしたが、防げたのは、最初の数回だけで、後のムチは、盾を避けて襲ってきたので、俺は、かなりのダメージをくらってしまった。


「くっ……」


 と俺は、呻き声を上げる。が、まだ動けはする。

 俺は、クロムから距離を取り、様子見に徹する。と、その時だった。


「『従虫』、解放!」


 とクロームが、巨蜘蛛を解き放ったのだ。巨蜘蛛は、真っ直ぐに、エミルの元に向かう。それなら、俺は、しばらくは任せておいても大丈夫か、と考え、クロムを相手取る事に集中するのだった。


      ・・・・・・・・・


 エミルは、クロームと巨蜘蛛を相手している。が、当然、余裕に戦えている訳ではない。ギリギリで戦況維持ができており、少しでも気を緩めると、戦況が逆転してしまうのだ。

 そう、今も。

 巨蜘蛛の脚から繰り出される攻撃をエミルが避ける。と、いつの間にかエミルに近寄って来たクロームが、エミルの耳元で、


「私達と一緒に来ないと、楽夜もろとも死んじゃうわよ?」


 などと囁きかけてくる。それだけならまだ良かったのだが、クロームは、たまに『ライフブレイク』で精神攻撃を仕掛けてきたり、『分身』を大量に召喚して、『誘言』の嵐を仕掛けてきたりと、厄介な事をしてくるのだ。これには、エミルも手を焼いた。しかも、その間にも、巨蜘蛛は攻撃を仕掛けてくるので、面倒くさい事この上無いのだ。

 そして、今、戦況が動く。

 巨蜘蛛が、エミルに向けて、次々と糸を放つ。エミルは、冷静にその糸を避けていく。が、その時。エミルの足が、何かにくっつき、離れなくなってしまった。


「えっ!?」


 エミルは、バランスを崩し、石畳に倒れ込む。そこへ、巨蜘蛛が容赦無く、糸を放っていく。そして、巨蜘蛛の糸がエミルの全身を覆うと、今度は、蜘蛛の糸と石畳とを、新たな蜘蛛の糸で接着していく。そうすると、エミルの体は、地面に接着されてしまい、エミルは、身動きが取れなくなってしまう。そうすれば、後は、クローム達は、エミルに自由に『誘言』をかけたり、自由にちょっかいをかけたりできるのだ。それにより、エミルの精神的ダメージはより高まって行き――

 エミルの精神は、限界を迎えつつあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ