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第六章 襲撃者達 1 二人の少女

 俺は、クロムを目の前にし、


「おい! オリク達! 敵が来たぞ!」


 と叫び、オリク達を起こそうとする。が、オリク達が起きて来る様子は全く無い。


「おい、起きてくれ!」


 と、クロムが、オリク達が起きない理由を教えてくれる。


「簡単な話よ。楽夜の仲間に、睡魔の呪いをかけたのよ。知らなかったのかしら? 眠っている敵に対しては、呪い付与の成功確率が上がるのよ。眠っている敵に睡魔の呪いをかけると、ざっと半日くらいは起きなくなるのよ。さて、そろそろお喋りの時間は終わりにしましょう。行くわよ、クローム。」

「ええ。」


 クロムは剣を構えて、俺に突撃してきた。クロムの様子からするに、彼女は、本気で俺に挑みかかって来ている。これはもう、やるしかないと、俺の本能が告げていた。ならば、全力で戦うまでだ。

 俺は、刀を抜き、盾でクロムの剣を受け止める。

 これが、戦闘開始の合図となった。

 俺は、盾で受け止めたクロムを、押し返す。そうする事で、クロムの体勢を崩し、クロムに隙を作らせる事に成功した。そこへ、俺が、畳み掛けるように攻撃を仕掛けて行く。


「くらえ! 『一刀両断』!」


 そう最初の一撃をクロムに叩き込もうとしたのだが、俺が、刀を振り下ろした時、クロムの姿は、掻き消えていた。


「遅すぎるわ。そんな攻撃が、私に当たるとでも思った?」


 クロムが、そう挑発してきた。俺は、試しに、普通に斬る攻撃を繰り出してみる。と、俺の刀が振り下ろされた瞬間、クロムの姿が掻き消え、俺の刀は、宙を斬った。

 この事から、俺は、クロムが、とんでもない身体能力の持ち主であると推測した。

 と、その時だ。


「次は私の番よ。くらいなさい。『氷解』!」


 俺の背後から、そうクロムの声がした。俺が、その声のした方を振り返るよりも早く、俺の背中に、激痛が走る。


「くっ……」


 俺は、反撃に出るよりも、一旦距離を取って、様子を見る方が、安全だと判断し、一旦、クロムから距離を取る。

 俺が、『氷解』の攻撃をくらったところに目を向けてみると、斬られたところから、煙が出ていた。どうやら、『氷解』は、その技の名前の通り、氷を溶かすほどの熱を纏った剣で攻撃する技のようだ。

 俺がそう考えていた時だ。クロムが、思いもよらぬ行動に出た。クロムは、ムチで、俺のいる方とは全く違う方へと攻撃を始める。その攻撃の先にいたのは……


「エミル!」


 ちょうど、クロームに向けて攻撃を放とうとしていたエミルだった。

 俺は、エミルの元へと走って、エミルを守ろうと思ったが、間に合わなかった。クロムのムチは、ハンマーを振りかぶって、クロームに攻撃を放とうとしていたエミルの足に命中した。それにより、エミルは、バランスを崩し、前方に、派手に転んでしまう。

 そこへ、ようやく、俺が到着する。


「エミル、大丈夫か?」

「ええ。オリクに『ダメージ付与』でダメージを分散させておいたから、そこまでダメージはくらってないわ。ただ、クロームは、すごく厄介ね。近づくと、即座に『誘言』を叩き込まれるの。今は大丈夫だけど、どこまで精神が持つか、心配ね……」

「分かった。クロムを片付け次第、そっちの援護に回るから、それまで耐えていてくれ。」

「分かったわ。」


 俺は、クロムの元へと戻ろうとした。が、その時。


「二人まとめて、精神をへし折ってあげるわ! 『悪夢連行』!」


 そうクロームが唱えた。すると、クロームから、黒い霧のようなものが放たれる。その霧は、俺とエミルの方へと向かってくる。このままだと、二人揃って、『悪夢連行』にかけられてしまう――と、その時。


「楽夜、危ない!」


 エミルが、そう叫び、俺を押し退けた。そのお陰で、俺は、黒い霧から逃れることができた。が、エミルは、黒い霧に飲み込まれてしまった。助けに向かいたいが、クロムをどうにかしないことには、エミルを助ける事も出来ない。

 俺は、どうにか耐えてくれと思いつつ、クロムに向き直る。


「クロム、お前を倒して、早くエミルの援護に向かいたいんだが、そこを退く気はないか?」

「ある訳無いでしょう。それじゃあ、私は、楽夜が、エミルの元に向かえないように、精一杯邪魔をさせてもらうわ!」


 そう言葉を交わした後、俺とクロムの戦いは、より激化していくのだった。

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