第五章 襲い来る鎧蛇
俺の次に攻撃を仕掛けるのは、ジョンとエミルだ。先に仕掛けたのは、ジョンだ。
「これならどうだ! 『乱れ突き』!」
そう唱え、鎧蛇に、次々と突剣を突き刺す。が、やはりこれも、大したダメージにはなっていないようだ。
最後に、エミルが、最強の一撃を放つ。
「行くわよ! 『大星破壊』!」
そう唱え、エミルが、渾身の一撃を、鎧蛇に叩き込む。流石に、これは大ダメージだったようで、鎧蛇は、苦しそうにしている。
と、そこへ、声が届く。
「楽夜、魔法を放つよ! 危ないから一旦引いて!」
そう声を発したのは、マジカルだ。
「エミル、ジョン、一旦戻るぞ。」
俺は、二人と共に、元の位置に戻る。と、マジカルが、
「行くよ! 『暴風』! 『アクアブレード』! 『豪火』!」
と唱え、風、水、火の魔法が放たれる。
魔法は、素早く鎧蛇に迫る。そして、風魔法で吹き飛ばされ、水魔法で胴を切られ、火魔法で燃やされた鎧蛇は、苦しそうにうずくまっている。
「今だ! 畳み掛けるぞ!」
俺の言葉で、俺、エミル、オリク、ジョンが動き出す。
「くらえ! 『オーバーブレード』!」
俺は、鎧蛇に、思いっきり斬りつける。と、鎧蛇は、苦しそうにしている。先ほどの『天空斬り』とは違い、それなりに効いていそうな様子が窺えた。
「次は私よ! 『大星破壊』!」
エミルは、俺と同じく、最高峰の技での攻撃を選んだようだ。やはり、先ほどと同じで、鎧蛇は苦しそうにしているな。
「俺の番だ! 『連続突き』!」
ジョンは、多回数攻撃で、できるだけダメージを稼ぐ作戦のようだ。そして、その狙い通り、五回攻撃に成功したようだ。ただ、そのダメージは、微々たるものではあるが。
「くらって。『三段撃ち』。」
いつも通り冷静、と言うか、感情を表に出さないオリクは、新たに修得した技を使っていた。その技、『三段撃ち』は、三回攻撃確定で、一回一回の威力も大きいという、とても優秀な効果を持っていた。これから、武器の質を上げていけば、大ダメージも期待できそうだ。
さて、これで全員一回ずつ攻撃が終わり、二周目に入ろうかと思ったのだが、その時、鎧蛇の様子が一変する。ここまでは防戦一方だった鎧蛇が、突如、攻勢に出たのだ。
鎧蛇が、俺に向かって、噛みつき攻撃をして来た。俺は、何とかその噛みつき攻撃をかわす。そして、
「全員、バリアの中に退避するぞ!」
と指示する。
が、その時。俺の目の前で信じられない事が起こる。鎧蛇が、いつの間にか再生していた尾で、バリアを叩く。と、バリアは、砕け散ってしまう。
「何だと……?」
俺は、その光景を目にし、驚いていたことで、行動が遅れてしまっていた。そんな俺に、鎧蛇の牙が迫る。
俺は、噛みつき攻撃の回避を試みる。が、鎧蛇の体が大きい為に、鎧蛇の攻撃の射程も大きい。その為、鎧蛇の噛みつき攻撃をまともにくらってしまった。
「くっ……」
俺は、そう呻き声を上げる。そんな俺に、追撃が。
鎧蛇が、俺にのしかかって来た。鎧蛇は、巨体なだけに、体重も重い。その為、俺にものすごい圧力がかかっているのだ。
このままだと、押し潰されてしまう――と思ったその時。
「楽夜は、私が救う! 『打ちつける』!」
とエミルが唱え、鎧蛇にハンマーを打ちつけたようだ。と、鎧蛇が、俺の上から退いた。その隙に、俺は、その場から脱出した。
こうして、俺は、危機を逃れたのだった。




