表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/111

第四章 最強を名乗りし者 1 エリュンへの挑戦

 俺は、エミルに駆け寄り、傷を見る。エミルは、肩の辺りから出血していた。命に関わるような大ケガという訳ではないが、恐らく気絶してしまったのだろう、やはり起き上がってこない。エミルが抜けるとなると、勝利は相当厳しくなってしまうな……。


「これでエミルは封じた、と。もう勝てるかな。」


 俺が、そう言ったエリュンの方を見ると、エリュンの手に、拳銃が握られている事に気がついた。その拳銃でエミルを撃ったのだろうが、ちょっと考えてみて欲しい。エリュンは、エミルの『大星破壊』を受けて剣が折れた後、僅か二、三秒の間に、武器を拳銃に持ち替え、エミルを撃ったのだ。

 という事は、だ。エリュンは、一瞬にして武器を持ち替えたという事だ。つまり、俺達がいくらエリュンの武器を破壊しても、すぐに別の武器で反撃を受けてしまうという事だ。

 さらに、武器を入れ替える事が出来るのなら、戦況に合った戦い方をする事ができる。例えば、速射性の高い銃なら、相手が一瞬でも隙を見せれば、そこに一発撃ち込んで、撃破するなんて事もできるし、術なら、詠唱が必須な代わりに、広範囲に、強力な威力を持つ魔法を放てるものが多い。

 すると、エリュンは、装備していた銃をしまい、杖を取り出す。そして、早速。


「水の流れに翻弄されて! 『激流』!」


 エリュンがそう唱えると、部屋の天井付近から水がじゃんじゃん降って来て、俺の腰の辺りまで水が溜まる。すると、突然水があちこちに向かって流れ始め、やがて、その流れは、激流となる。


「楽夜様、私の側に!」

「ああ!」

「オリク、私じゃ頼りないけど、私の側に――」

「いや、マジカル、あなたが私の側に来て。レックスも。」

「分かったぜ!」

「ジョン、俺達は……」

「俺が守る。俺の側に来てくれ。」


 俺達は、盾となる者がいることで生まれた安全地帯に他の者が集まり、ダメージを受ける人数を減らす作戦に出た。

 その結果は……

 まず、俺を守ってくれたガードンだが、『激流』をくらって倒れてしまった。傭兵だから仕方ないというべきか、俺を守りきってくれたから称賛すべきか。俺なら、間違い無く後者を選ぶだろう。

 次に、マジカルとレックスを守っていたオリクだが、何とか耐えていた。が、深い傷を負ってしまったようだ。

 最後に、シュートを守っていたジョンだが、ガードンと同じく倒れてしまった。シュートにはダメージは無かったものの、戦闘不能者が一気に二人も出てしまったのはマズい。

 この『激流』でひとまずエリュンの攻撃は途絶えたかと思えた。が、むしろ、ここからが本番だった。


「天よ怒れ! 『ライトニングサンダー』!」


 エリュンがそう唱える。その瞬間、俺は、ある可能性に至る。


(『激流』が終わった後も、水は残っている。そして、この後、技名からして雷系の攻撃がくる……という事は……マズい!)


 俺は、即座に跳び上がり、壁に刀を突き刺して、水から離れた。直後、水に向けて、雷が落ちる。その雷は、水を伝い、部屋の水全体へと広がっていき、そして……


「キャァ――ッ!」

「くっ……あっ」


 あちこちから、悲鳴やうめき声が飛び交う。そして、その悲鳴が収まった時、その場に立っていた者は、いなかった。


「何だと……?」


 俺は、思わずそう呟く。


「流石は、物理法則をしっかり分かっている楽夜さんだね。でも、残りは楽夜さんだけだよ。」


 そう、エリュンの言う通り、残っているのは、俺だけなのだ。

 俺は、残り時間を確認する。まだ八分程残っていた。

 俺は、これは勝てないと悟った。が、俺は、最後まで戦い抜きたいと思う。負け戦だとは分かっているが、どうせ死なないのだから、手を抜きたくはないし、何より、仲間をやられているのだから、一矢報わないと気がすまない。


「よし、俺も本気を出してやる。エミル達の敵は、俺が討つ!」


 俺は、強い決意を持って、エリュンと対峙するのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ