第一章 冒険の始まり 1 最初のバトル
再び視界に光が戻った時、俺は、石畳の床の上にいた。顔を上げると、そこには、スライムの姿があった。
しかし、スライムは、いつまで経っても、攻撃して来ないため、今の時間を活用して、あのスライムに勝つための戦略を練るとしよう。
まず、俺の残りHPを確認してみよう。
高藤 楽夜 HP 7/50 エネルギー量 6/6
といった感じで、大きくHPが減っていた。
これでは、勝つことは、かなり厳しい。しかし、俺には、この不利な戦況から抜け出す、打開策があった。
それは、『新技開発』というスキルだ。このスキルは、その名の通り、新しい技を開発することができるのだ。1日に1回しか発動できず、どんな技を開発するのか分からないため、自分の使用する武器種以外の技を開発することがあるのが少し残念だが、スライムに勝つための手立てがこれしかないのだから、仕方がない。
俺は、スキルを発動し、こう唱える。
「俺は、新たな技を必要とする。どうか、新たな技を俺にくれ!」
これで、『新技開発』の申請は完了だ。数分程待てば、新しい技を修得できるだろう。
さて、新しい技が手に入れば、かなり戦闘が有利に進められるはずだが、かといって、勝つことができるかは、分からない。そのため、攻撃を仕掛けて、スライムのHPを減らしておくとしよう。
「くらえ! 『切り上げ』!」
俺は、そう唱え、スライムに斬りつける。
スライムは、突然の俺の攻撃に反応できず、壁に向かって飛んでいく。
さらに、俺は、スライムに歩み寄り、
「まだまだだ! 『斬り捨てる』!」
そう唱え、再びスライムに斬りつける。
スライムは、壁に叩きつけられる。
俺は、一旦スライムから離れ、様子を窺う。
そこに、朗報が入る。
『新たに楽夜さんが修得できる技が決まりました。今回修得できる技は、『オーバーブレード』です。威力320、消費エネルギー量60、特殊効果として、修得した際の最大エネルギー量を6アップさせます。修得しますか?』
そう、俺の『新技開発』で修得する技が決まったのだ。しかし、俺は、コレジャナイ感をヒシヒシと感じていた。
何故なら、威力が320くらいの技は、普通、終盤で修得するはずなのだ。そんな技を、俺は、最初のバトルで修得してしまったのだ。ちなみに、『斬り捨てる』の威力は3だったはずなので、威力の差は実に100倍以上にもなるのだ。
偶然というか、偶然の一言では収まりきらないほどのヤバい技を修得してしまったという訳だ。
取りあえず、イエスと答えておくことにする。
さて、俺がそんな偶然に見舞われている間に、スライムは、さっきの俺の技のダメージから立ち直り、俺を倒そうとしていた。
スライムは、再び『取り込む』を発動しようとしていた。恐らく、それをくらったら、俺は死んでしまうだろう。しかし、俺がその攻撃を避けた場合、俺にも勝機はある。
スライムが、俺を取り込もうとして、大きく体を広げる。俺を確実に取り込む為に、範囲を広くしてあるようだ。
その攻撃は、跳んでも、横にずれても、回避は不可能である。だが、直撃さえしなければ、取り込まれないはずだ。ならば……
俺は後ろにダッシュし、十分に距離を取る。そして、両手を前に出し、こう唱える。
「来い! 俺の『分身』召喚!」
すると、俺の目の前に、分身が出現する。その直後、分身は、スライムに取り込まれていく。
そう、ここで俺が考えた作戦は、俺の分身を犠牲にして、スライムの『取り込む』から逃れるというものだ。
そして、その作戦は見事に成功した。
今がチャンスだと感じた俺は、スライムに斬りつける。
俺の刀がスライムに触れたその瞬間、何故か刀が青い光をまとい、スライムを切り裂いた。
「ぎゃぁぁぁ――!!」
スライムは、そううめき声を上げた後、粉々に砕け散って、どこかに消えた。
こうして、俺とスライムの戦いは幕を閉じたのだった。