第三章 無双と枷 1 ゴブリンの軍勢
オリクが、中位兵士ゴブリンを討伐に向かった後、俺は、オリクの負担を減らすため、周りのゴブリンの数を減らそうと思い、積極的に周りのゴブリンに攻撃を繰り返していた。攻撃を始めてから数分ほど経つと、周りのゴブリンの数もかなり減ってきた。
「とりあえず、周りのも多少は減ったか。もうそろそろ、オリクが中位兵士ゴブリンを倒しててもおかしくなさそうだが……」
俺はそう呟き、オリクの方を見ると、そこには、驚きの光景が。
オリクが、何体かのゴブリンに担がれて、運び出されていた。
俺は、すぐさまオリクの元へ向かう。すると、エミルが先にオリクの元へ着いていて、ゴブリンを倒してくれていた。
俺がオリクの元へ着いたとき、オリクは、体に短剣をいくつも刺されており、すでに意識を失っていた。
マジカルが駆け寄って来るが、ゴブリンに阻まれていて、なかなか、俺の所へ辿り着けないようだ。
「マジカル、今、道を作るからな。」
俺はそう言い、ゴブリンを次々と斬っていく。
マジカルが通れる道がもう少しで作れる――と、その時だった。
俺の脇腹に、短剣が刺さった。俺は、
「くっ……」
とうめき声を上げ、痛みで顔を歪ませながらも、俺を短剣で刺したゴブリンを倒し、脇腹に刺さった短剣を抜く。そして、その短剣を、俺の目の前にいたゴブリンに突き刺す。
俺に短剣を刺されたそのゴブリンは、粉々になって消えていった。
俺は、マジカルに、こう問う。
「マジカル、『光の水』は使えるか?」
「ううん、エネルギーが足りなくて使えない……」
「分かった。」
それならと、俺は、レックスの元へ向かう。
「うっ……」
脇腹の傷がズキズキ痛むが、レックスの元へ行けば、楽になれる。そう思えば、少しは力が出る。
少し走ると、レックスの元に着いた。
「レックス! 回復させてくれ!」
「分かったぜ! 『光の水』!」
レックスがそう唱え、俺の傷もすっかり癒えた。
俺は、オリクに刺さった短剣を次々引き抜き、周りのゴブリンに投げつける。
「オリク、戻って来てくれ! 『ヒールマジック』!」
レックスがそう唱え、杖を振ると、緑色の光が、オリクを包む。
「どうだ!?」
俺がそう叫ぶと、オリクの体が動き始める。
「よし!」
それを見た俺は、思わずガッツポーズ。レックスも、喜んでいる。
「レックス……ありがとう……痛っ……」
「大丈夫か!?」
「うん。ただ、傷口が塞がり切って無いから……」
「それなら、これだ! 『光の水』!」
オリクを、水色の光が包む。が、オリクの体に変化は無い。
「何でだよ! こんだけ回復魔法をかけたのに!」
「レックス……HPは回復しても、傷口は塞がらない……これ以上魔法をかけても無駄だから……今できる最善の事をして……」
「くっそ……分かった。オリク、俺達でゴブリンどもを一掃してやるから、それまで待ってろ!」
「うん……分かった……お願い……」
その返事を聞いたレックスは、
「楽夜、ゴブリンどもをさっさと片付けて、オリクを楽にしてやるぞ!」
と言い、オリクを守る。それを聞いた俺は、残っているゴブリンを倒すために、前に出る。そして、刀を構えて走り出したのだった。




