第ニ章 更なる戦い 4 頼れる仲間達
マジカルによって傷が癒えたエミルは、マジカルに話しかける。
「マジカル! 倒れてたはずじゃ……」
「ええ。ジュリンの『成長攻撃』を受けて、精神を蝕まれて、倒れてた。でも、時間が経つと、その傷も癒えて、今のように、戦いに復帰することもできるの! 他の三人も、もうすぐ目覚めるよ!」
そう言葉を交わす二人だが、ジュリンの攻撃が終わった訳では無い。エミルがマジカルを守っているから無事だが、エミルがいなければ、マジカルは今頃、致命傷を負って、地に伏していただろう。
さて、エミルに守られ、無傷だったマジカルだったが、ここで、命の危機に晒されることとなってしまう。
エミルが樹木に突き飛ばされてしまい、マジカルを守る者がいなくなってしまう。ジュリンがその隙を見逃す訳もなく、樹木は、狙いをマジカルに集中し、攻撃を仕掛けていく。マジカルでは、この攻撃に耐えることは不可能だ。このまま、為す術もなく死んでしまうのか――そうマジカルが悟った時だった。
「そうはさせないわ!」
エミルがそう叫び、マジカルがダメージを負わないように、マジカルに覆い被さった。それにより、マジカルはダメージを負わずに済んだ訳だが、エミルはそうもいかない。マジカルを守ることには成功したが、自身は大ダメージを負ってしまった。
「熱い……それに痛いわ……助けて……!」
エミルはとても苦しんでいる。このままでは、再び命に危険が及んでしまう。
と、その時。その危険を察知したかのように、また一人、戦士が蘇る。
「エミルは私が助ける。『撃つ』」
そう、オリクだ。彼女もまた、『成長攻撃』によって、精神を蝕まれていたが、その傷は、時間が経ったことで、すっかり癒えていた。そして、起き上がると同時に、不意討ちを仕掛けていた。
オリクが放った銃弾は、見事にジュリンに命中していた。
「痛っ……! 誰よ!」
ジュリンは驚き、『樹林化―炎―』を解除した。
さらにエミル達に良い風が吹く。
「目覚めんのが遅れたな。待たせたな!」
「協力して、ジュリンを倒しましょう!」
そう、シュートとガードンが復活したのだ。これで、全員が復活し、五対一と、かなり有利になった。
しかし、またしてもジュリンが動く。
「数が多くたって、技の質が悪ければ、私を倒すことは出来ないわ! 精神攻撃が駄目なら、圧倒的な物理攻撃で押し潰す! 『樹木爆発』!」
そう言い、『樹林化―炎―』で使った樹木を、一斉に爆発させる。
「私の後ろに隠れて!」
「お守り致します!」
そう言い、エミルとガードンが、オリク達を守る。さらに、オリクが発砲し、ジュリンを狙う。しかし、激しい炎や爆風により、エミルとガードンにダメージが及んでしまう。さらに、
「そんな抵抗は無駄よ。まともに見えない状態で発砲したって、当たる訳無いわ。それに、その抵抗が、あなた達自身を苦しめることになるわ!」
ジュリンがそう言うと、その身から生えた樹木が、エミルに巻き付く。その樹木は、高く上昇し、部屋の天井近くで止まる。
「消してあげる! 『ジュリンカーニバル』!」
にぎやかな技名だが、本当は正反対で、残酷な技だ。
この技は、対象に樹木が巻きつくと、その樹木から、対象に激しい痛みが流れ込み、さらに、周りから、他の樹木が攻撃を加え、対象のHPが限界に達したところで、樹木が爆発し、対象を死へ至らしめる――そんな恐ろしい技なのだ。
「きゃあぁぁぁ――!」
「エミル!?」
エミルの叫びを聞いたオリク達が、エミルの方を向く。が、
「よそ見は命取りだぜ!」
そう叫び、ジョンが攻撃を仕掛けてくるため、エミルの救出にまで手が回らない。
「エミルを救うには、こうするしかない……。みんなこいつを抑えておいてくれ。」
オリクはそう言い、ジョンから距離を取る。そして、
「エミル、待ってて。『致命銃』……」
そう唱え、ジュリンに向けて銃を発砲しようと思ったのだが、またもや邪魔が入る。
「その銃弾、本当に撃っても良いのかしら? ここで私を殺すのなら、それでも構わないけれど、その代わり、この女を道連れにするわ。さあ、私を殺すのか、この女を優先するのか、選びなさい。早くしないと、この樹木が爆発して、この女が死んでしまうわよ?」
それを聞いたオリクは、引き金を引こうとしていたその手を慌てて止める。
「オリク……助けて……!」
エミルは、そう言うと、気を失ってしまった。
(どうする私……エミルを殺しちゃ、エミルに悪いけど、銃弾を撃てば、ジュリンを殺せる……どうする……)
とオリクは多大に悩むのだった。




