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第二章 更なる戦い 4 頼れる仲間達

 楽夜が聞いたエミルの声だが、気のせいでも幻聴でもなかった。エミルは生きていたのだ。オリク達も、生きているものと見られる。この世界では、死者は、光の粒子となって消えるはずだが、オリク達は、まだここにおり、ジュリンが、オリク達に『死者体現』を施した訳でもないからだ。

 さて、エミルは、まだ戦えるものの、すでに満身創痍の状態だった。倒れる前に、大ダメージをくらっており、すでにエミルのHPは尽きかけだったのだ。

 そんな状態でも、エミルは諦めない。エミルは、楽夜が死んでいくところを見ていた。それ故に、エミルには、ジュリンとジョンに対する怒りが募っていた。


「よくも楽夜を! 許さないわよ!」


 そう怒りをぶちまけるエミルに対し、ジュリンはこう返す。


「あら、あなた、まだ生きていたのね。死に損なったのかしら? まあいいわ。あの男のように、私を存分に楽しませてもらいましょう。」


 そう言ったジュリンに対し、エミルはさらに怒りを募らせる。


「楽夜を奪った罪は大きいわよ! あなたを倒して、楽夜を返してもらうわ!」


 そう言ったエミルだが、ジュリンには聞き流されてしまう。


「さて、戦いを始めましょう。あなた、相当消耗しているみたいね。そんな体で、私達に勝てるはずないわ。とっとと諦めて、私を楽しませるために、苦痛の叫びを上げてちょうだい!」


 そう言ったジュリンに対し、エミルはこう返す。


「そんなの、一回やってみないと分からないわ! こんなボロボロの体でも、ジュリンと互角に戦えるはずよ! 『打ちつける』!」


 そう言い、エミルが、ジュリンに向かってハンマーを振る。が、


「俺もいるぞ!」


 そう叫んで飛び出してきたジョンに阻まれてしまう。


「一対二!? 圧倒的に分が悪いわ……」


 そう驚くエミルに、ジュリンが話しかける。


「そうよ。あなたは、数的不利であり、個々の戦闘力で見ても、あなたの方が、圧倒的に不利なのよ。でも、絶望の時間はこれからよ。行くわよ! 『樹林化―炎―』!」


 そうジュリンが唱えると、数多の樹木が地面から生え出し、根元の方から炎に包まれていく。


「火炙りにされてしまって!」


 ジュリンのその声と同時に、樹木の猛攻が始まる。


「『打ちつける』! ……熱っ!」


 エミルは、ハンマーを樹木に打ちつけ、攻撃を止めようとする。が、樹木が纏う炎により、逆にダメージを受けてしまう。


「樹木に攻撃しても、何ともならないわ! その行動が、自分の身を傷つけるのよ!」


 そう言ったジュリンに反論しようとしたエミルだったが、ジュリンの言っていることは正論である。それ故に、ジュリンへの反論ができないのである。

 さらにジュリンの攻撃は苛烈さを増す。


「もっと速く! もっと強く! あの女に絶望を与えるのよ!」


 そのジュリンの思いに応えるかのように、樹木の攻撃速度は、どんどん速くなっていく。そして、その速度は、目で追うことができない程に達する。エミルも、目視での回避は不可能だと判断し、直感だけを頼りに回避している。が、樹木の軌道は、より複雑になっていく。その内に、樹木がエミルに直撃するようになってくる。


「熱っ! このままじゃ……熱っ!」


 エミルが、死を視野に入れ始めたその時だった。


「エミル、すぐに回復させる! 『光の水』!」


 そう唱え、エミルを回復させたのは……


「マジカル!?」


 そう、マジカルだ。ここに、戦士が蘇ったのだった。

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