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第十章 最後まで諦めない者が報われる時 2 エミルの奪還

「行くぞ! 『オーバーブレード』!」

「くらって! 『大星破壊』!」


 俺はクロムに、エミルはクロームに奥義で攻撃を仕掛ける。クロムもクロームも、後ろに後ずさり、苦し紛れな表情をしながら、傷を負ったところを押さえている。だが、一撃で死に至らせることはできなかったようだ。二人してこちらを睨みつけている。これは反撃に注意しなければな。

 俺がそう言っていると、俺の思惑通り、クロムとクロームが反撃を仕掛けてきた。クロムは、ムチをしならせ、俺に攻撃を仕掛けてくる。俺は、刀でムチを斬り飛ばそうと、刀を振るう。だが、ムチは俺の刀をしなやかに避け、俺の腕に傷をつける。さらに、クロムは颯爽と辺りを走り抜け、俺とちょうどすれ違うタイミングで剣を振ってきた。俺は咄嗟に盾で防御に移る。結果、クロムの剣を弾くことには成功した。だが、俺はその衝撃で後ろに弾き飛ばされる。その際に、エミルとクロームの様子が見えた。

 エミルは、クロームが召喚したのであろう天使と戦っていた。天使は、右手に剣を構え、左手には光の玉のようなものを用意していた。天使は、剣で戦いつつも、光の玉で奇襲攻撃もしているようだ。そんな特徴的な戦法をする天使に、エミルも食らいついていた。剣の威力をハンマーで相殺しつつも、光の玉を余裕の表情で避けている。流石は超越したステータスと、ハンマーとの固い絆の持ち主だ。ハンマーはエミルの思うままに動いている。流石だ――俺がそう考えていると、突然、視界が元に戻った。

 クロムのムチが俺の眼前に迫る。俺は、後ろにのけぞってそのムチをかわす。クロムは、意外だ、というような表情で俺を見つめてくる。

 俺は、チャンスだ、と思い、素早くクロムとの間合いを詰め、左手のムチを目掛けて斬り込む。だが、ムチに切り込みは入っていたが、完全に切れた訳では無かった。クロムは、切れた所を一瞬見つめたが、すぐさま俺に意識を向け直す。

 クロムは、剣で俺の首を狙ってきた。ムチを斬り落とそうと間合いを詰めていたのが災いした。俺は、体をうねらせ、必死で回避に移る。首の後ろが軽く斬られたのか、僅かに痛みが走るが、そこを庇っている暇はない。俺は、さらに体をうねらせる。俺はバランスを崩して石畳に倒れこむが、それは俺の狙い通りだ。どうやら、石畳に倒れこんだのが功を奏したようだ。俺は、クロムの刃から逃れることに成功し、クロムの意表を突けたからだ。俺は急いで起き上がり、間髪入れずに斬りつける。


「くっ……」


 そううめき声を上げてクロムが倒れ込んだのがはっきりと分かった。


「これで終わり、だな」


 俺はそう呟き、クロムにとどめの一撃を刺そうと剣を振り下ろす。

 と、その時だ。クロムが転がり、俺の剣から逃れた。さらに、


「せっかくここまで耐えてきたのに……仕方ないわね、見せてあげるわ。『マリオネットアームド』!」


 と言い、禍々しい鎧をその身に纏ったのだ。


「まだやるのか?」

「当たり前でしょう? こんなところで敗れて、グレン様に敗北をもたらす訳にはいかないのだから。覚悟しなさい!」


 会話を交わし、俺とクロムの戦いは、最終幕に突入していく……

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