第九章 終わらない地獄 3 正義と悪の激突
「くらえ! 『ぐるぐるスイング』!」
ラドンさんが、そう叫び、私に向かって、ハンマーを振り回しながら突撃してきた。私は、銃を3発発砲して、ラドンさんの勢いを止めようとした。でも、銃弾は全てハンマーに弾かれてしまって、ラドンさんの勢いを弱めることすらできなかった。
やはり、熟練のハンマー使いは格が違う。私が今から武器をハンマーに持ち替えてラドンさんと戦っても、私の勝てる確率は限りなく低い。でも、武器の熟練度ではかなわなくとも、ステータスだけで見れば、私に圧倒的に分がある。そのアドバンテージを駆使すれば、案外サラッと勝てるかも。まあ、楽観視が良くないっていうのは知ってるけどね。
私は、突撃してきたラドンさんの頭上へと跳躍して、攻撃をかわす。と、その時、私の体の動きが突如として止められ、私の体は、石畳に吸い込まれるかのように落ちていく。
私の軽い体は、石畳に強く押し付けられ、石の塊が宙を舞う。私は起き上がろうとしたけれど、体はびくとも動かない。指1本すらも動かせないの。
「どうだ? 『不可視の鎖』で石畳に拘束される気分は?」
そうラドンさんは言いながら、私の方へと近づいてくる。
「この『不可視の鎖』には、お前でも抵抗できないだろう? 弄んでやる」
そのラドンさんの冷酷な声が、私の耳に届いた。
ラドンさんがジリジリと近づいてくるのが私の目に映る。このままじゃ、動けないままラドンさんに弄ばれて、この世界の支配権をラドンさんに明け渡すことになってしまう。それだけは絶対に避けなければいけない。でも、どうやって脱出すれば……
私がそう考えていると、私の頭のそばに、ラドンさんのハンマーが打ちつけられる。石畳を伝わって、激しい振動が私を襲う。私の頭が激しく揺さぶられ、石畳に私の頭がゴツンとぶつかる。それだけじゃない。石畳から、石の塊が次々と舞い上がり、私に向かって落ちてくる。
私の体のあちこちに、石の塊が当たる。私は動けないので、その石の塊の直撃を受けるしかない。まあまあ痛いけれど、我慢できないほどではない。でも、この現状を打破するためには、ここでこうしているだけじゃ駄目だ。一体どうすればいいの……?
と、その時。部屋の天井しか映っていなかった私の視界に、30本を超える本数の短剣が映る。その短剣達の刃の先は、全て私の方を向いていた。
「恐怖させてやる。『ダガーレイン』!」
グレンさんがそう言うと、その短剣達が、瞬速と表現するのがふさわしいほどの速度で、私に向かって突撃してきた。一つ一つの短剣の刃の先は鋭く作られていて、それが全て私の体に直撃したら、私でも無事とはいかない。
けれど、私のその心配は、どうやら杞憂だったようだ。放たれた短剣の内、私の体に命中したものは、1本だけしかなかった。その1本は私の腹にしっかりと刺さっていて、常人にとっては、致命傷になりかねないような一撃だけれど、私にとっては大したことはない。けれど、他の短剣の中にも、大きく狙いを外したものは無く、また、私の肌に傷をつけたものも多数あり、決して適当に放ったものとはとても思えない。
その私の予想は正しかったようで、私の腹が、焼けるような痛みを訴える。腹からは、尋常じゃないくらいの量の血が流れ出てきている。
「どうする? 今、この場で降伏して、死を免れるか、降伏せずに、自身の命を無駄にするか、どちらにする?」
「降伏なんてするわけないよ、私はあなたに負けるわけにはいかない、いや、負けるわけが無いんだから」
「そうか。なら、俺のこの手で、お前を死地へと誘ってやる!」
ラドンさんはそう言い、覇気を解放する。私は、それを見て、覚悟を決めるのだった。
どうもこんにちは。子りっくです。
さて、本作は、このエピソードで100エピソードとなります。ここまで本作の執筆を続けてこられたのは、ここまで本作を読み続けてきてくださった皆様のおかげです。本当にありがとうございます。
さて、私は、これからも執筆を続けていきます。本作が皆様の心の支えとなり、本作を通じて、私自身も皆様からのPVや評価等で、心の支えとなっていけたらと思います。
これからも、私と、私の作品をどうぞ宜しくお願い致します。




