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③告白

夏休み。家で一人でお留守番しているときでした。私はいつも人が大食いする動画を見ていました。

「なんでこの人、こんなに食べてるのにこんなに細いんだろう…。私も大食いしたい…」

私は走ってコンビニへいきました。そして、カゴの中にたくさんのスイーツやアイス、パン、揚げ物を詰め込みました。ついてきた割り箸やスプーンはたくさんありました。家に急いで持ち帰り、勢いよく口の中に詰め込みました。10人分くらいあった食べ物たち。たった30分でなくなっていました。それでも足りなくてソワソワして、家中をうろうろしながらお菓子を探して食べていました。ゴミをバレないように隠して捨てたあと、ものすごい罪悪感に襲われ、その後の食事は「おなかが空いていない」と言い、より一層減らしました。

このようなことが何度かありました。ドーナツ10個にビビンバ2人前、ポテトチップスにチーズを用意して、短時間で食べたり…。そして、罪悪感で食事を減らす。繰り返していました。

生活は食べ物で中心になりました。スーパーやコンビニではアイスやパンコーナーをずっとうろうろしていました。

「みかん、それが食べたいの?買ってあげようか?」

「いや、いい。」

インスタやYouTubeは食べ物のことでたくさん。テレビも大食い番組ばかり見ていました。

中学3年生の9月。定期考査2週間前の日でした。

「お昼ご飯はコンビニで買おう!」

そう母はいました。私はいつも通り低糖質パンとサラダチキンを買おうと思っていました。しかし、コンビニに着いたら、低糖質パンは売り切れていました。そこでパニックになった私は何を食べていいのか分からなくなりました。

「みかん、まだ決めてないの?」

「うん…」

「またサラダチキン?だめ!栄養があるのを食べなさい!」

サラダチキンをダメと言われ、母が選んだビビンバを買わされました。お米が多いビビンバが怖くて仕方なっかた私はお部屋でずっと泣きました。15時に近づいてきて、そろそろ食べなさいと怒られたので、泣きながら食べました。

「夜ご飯を減らそう…」

そう思っていました。

その日の夜ご飯は父が作るスペアリブのスープ。

「何時ごろできそう?」

「21時ごろかな〜」

「私、先に食べてていい?」

そうしてスペアリブのスープを避けようとしました。

「あ、スープはできてるよ!」

「え…」

予想外でした。怖くてたまらないスペアリブのスープを飲まないといけない。渋々飲むことにしました。スープをつぐとき、できるだけ脂がなくて小さいものを選ぼうとしました。でも、なかなかありません。

スープの前で探しながらつぐこと15分。ついに母に怒られました。

「あなた、いつまでついでるの??もう、私がつぐ!!!!!」

そして、たくさんのお米に大きなスペアリブがつがれました。ぷかぷか浮かぶ脂。見るだけで怖くて泣いていました。

「太っちゃう、太っちゃう」

泣きながら食べました。

「明日こそ減らさないと太っちゃう」

次の日、朝とお昼は減らすことに成功しました。夜ご飯はお鍋でした。つがれたお米をこっそり減らしていたところ、母にバレてしまいました。

「あなた、何してるの?!?!」

「あ…」

見つかったお米は前以上に増やされ、完食しなければいけませんでした。怖かった私は、お鍋でお肉は食べず、キノコだけをタレもつけずに食べていました。しかし、それもバレてお肉やタレをたくさんつがれました。

「こんなに食べちゃダメ。こんなに食べたら太っちゃう」

苦しかった私の顔は、涙でいっぱいでした。

「あなた、なんで泣いてるの?」

「食べたくない…」

「は?なんで?」

「どうしても…」

「いい加減にしなさいよ!!いつまで痩せたら気が済むの??」

「…」

「あなた、拒食症になるわよ!!」

「...もうなってるもん。」

「は?」

「もうなってるもん!!」

「あなた、拒食症って知ってるの?精神科に行かないと行けないのよ!!」

母は父に言いました。でも、父はあきれたようにため息をつきながら

「あいつがそうしたいんだろ?俺たちはちゃんと止めた。あいつが後悔しても知らねぇ。」

そして、テレビに映る細いモデルさんを見て

「細いの気もちわりぃ。」

と言いました。無理はありません。ちゃんと言わない私が悪いのですから。そこから私はベッドへ逃げ、一人でずっと泣きました。

「本当のことを言いたい。でも、言ったら見捨てられる。太らされる。その体重で?って笑われる。食べれないなんてわかってもらえるはずがない。一人になっちゃう。こんな娘でごめんね。」

気持ちが分からなくなってとにかく泣きました。

「誰かたすけて...。ひとりにしないで...。」

そんなとき、母がきました。

「どうしたの~?ゆっくり話そう。」

母は優しい口調でした。

「食べれないの?」

「...うん。」

「どうして?」

「わからない。食べるのが怖い...」

「いつから?」

「結構前から」

「どうして言わなっかたの?」

「信じてもらえるはずがないって思ったし、太りたくなっかた。」

「そう...」

「私もこれはおかしいって思って自分で調べたの。そしたら、摂食障害って出てきて...」

「うん...。太りたくないの?」

「うん...」

「なんで?こんなに折れそうなくらい細いのに...」

「自分では全く細く見えないの。」

「今、何キロなの?」

「...41」

「そうだったんだ...。ごめんね、ママ、気づいてあげれなくて...」

母は泣いていました。そして私を抱きしめて

「つらい思いさせてごめんね。ひとりにさせてごめんね。親なんだからみかんの思い、分からないわけないじゃん。ちゃんとわかったよ。ママ、みかんには元気に生きていてほしい。一緒に治そう。元気になろう。」

お互い抱きしめながら泣きました。父も理解してくれました。私はひとりなんかじゃなかった。周りにはたくさん味方がいた。この家族に産まれてきてよかった。そう感じながら克服を決意した一日でした。


つづく...

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