本拠点
「馬鹿な……我黒炎を防ぐだと? しかも貴様、黒炎に少し当たっていただろ! なぜ焼けない!?」
「えっ?……まあ、ちょっとは暖かかったけど」
ジルベルトはあんぐりと口を開けている。
なんだ? いちいちリアクションが大袈裟な竜だなあ。
隙だらけだな、うん、やっちゃおうか。
ドコドコドコドコドコドコ
ドンガラガシャーーン
イネスは周りを囲んでいた者たちも含めて一気に片付けた。
「ゔっ……な? 俺だけじゃなく全員だと? その強さはありえん。八竜並み、いや、それ以上……」
ヒュッ
とイネスは持っていた槍の切っ先をジルベルトに向ける。
「降参でいいね? 俺はじいちゃんの葬儀の準備しないとだから周りに転がってるやつも含めてさっさと帰ってね」
イネスがそう言った後に背を向けた後に……
「ダークブレインコントロール!!」
ジルベルトが放った魔法は
――イネスに直撃した。
「どうだ!?」
イネスはというと……
「……うっうっうゔ……じいちゃんなんで死んだんだ……母さん…なんで俺を捨てたんだ……」
「やった成功だ!」
闇魔法:ダークブレインコントロール
この魔法は人が持つ闇の部分につけ込みその人間をコントロールするという魔法だった。
「まさかこんなガキがいるとはな。まるで伝説の竜騎士がごとくの強さ。だが所詮はガキだったな。精神攻撃系の魔法の耐性はやはりまだなかったか」
こうしてイネスは邪竜:ジルベルトのコントロール化におかれ、ブリストルの亡骸はその手へと渡る事になった。
◇
ドギャーーーーン!!
カラン、カラン
グラードは派手にレイモンド商店のドアを蹴破り、蹴破られたドアは商店の内部で転がっていった。
商店には店子の者たちが3名いたがみんな驚いた顔をしている。
彼女らは少なくとも堅気に見えた。
「俺は最近、ここに越してきたグラードだ! お前ら俺に挨拶料を払いやがれ!」
………どう出るのかと思ってたら完全な悪者じゃないか。
任せるんじゃなかったかな、と思っていたら。
「何だ? 何だ!?」
と奥から明らかにそれ系と思われる連中達が出てきた。
グラードがそいつらの元に行って応対のするのかと思ったら……
ボカッ!!
いきなり有無を言わさず殴ってるー。手が顔面に今、めり込んでたよ。
「なっ!? 何だお前らいきなり? カチコミか?」
「いいからさっさと上の者、呼んでこい!」
グラードは安定の脳筋対応だな。
数分後、男は十数人の仲間と共に戻ってきた。
「てめぇら! レイモンド商店のケツ持ちがジルベルト盗賊団だと分かってんだろうな!」
「ジルベルト盗賊団舐めてんのか!? 生きて帰れると思うなよ!」
男たちは思い思いに吠えている。
ただ、イネスと、おそらく頭領はいなさそうだ。
「ほら、釣れただろ」
とグラードは得意気に言っている。
いや、別に普通に話し合いでもこの状況にできたとは思うけどね。
「ジルベルトとイネスはいないのか?」
俺が尋ねると、盗賊団の連中はシーンとなった。
「えっ? 今、赤ん坊が尋ねたよな?」
「てか、なんでこんな所に赤ん坊がいんだ?」
「なんでこいつらイネスの事を……」
とざわざわとした所に
「ボスは今、いらっしゃらねえ。てめえらなんでイネスの事、知ってやがる?」
良し! ビンゴだ! 後はこいつらを……
「グラードやるか?」
「ああ、最近お偉仕事ばっかで、ストレス溜まってんでな! 久しぶりに暴れてやる」
チーン
十数人いた敵は一人残らずグラードに倒された。
ものの数分だっただろうか。
「おい、お前。イネスはどこにいる?」
先程のこの敵の集団のリーダーと思わしき、男に尋ねる。
「イネスはボスと一緒に本拠地にいる」
「本拠地はどこだ?」
「イエール山だよ。お前ら腕は立つみたいだが、死んだぞ、くっくっく。俺らを敵に回して。ボスとイネスは化物だ! 今のうちにせいぜ……」
ドゴッ!
とグラードが一撃を入れて、気絶させた。
「お前なあ」
「聞きたい事は聞けたからいいだろ」
イエール山。
確かここから10数キロ先、北西の方角にあったはずだ。
場所的に国々の国境に面するような場所にある為、隠れるには好都合だったのかもしれない。
俺達はすぐにそこに向かう事にした。





