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別れ

 少年、イネスは順調に冒険者稼業をこなして、無自覚無双を続けながら、若いながらもAランクまで上り詰めた。

 しかし、その一方、残念な事にブリストルの残り僅かだった寿命は尽きる事になる。


「じいちゃん、死なないで……! まだ……そばに居てよ!」

 あれほど、強大な魔力を誇っていたブリストルの魔力は風前の灯火のように少し吹いたら消えそうなほど弱っている。

 イネスはこうは言っているがもうダメだろうという事は直感として分かっていた。


「泣くなイネス。わしは5000年生きたが最後、お前に血分けをして家族として共に過ごした数年間が一番楽しかったわ。これでいいんじゃ。」

「いやだ!……まだ教えて欲しい事もあるし……まだ一緒にいたい!」

 ブリストルはイネスの頭をそっと触り、そしてその頭を撫でる。


「血分けしたのが寿命目前で良かったわ。お前を先に亡くす事など考えられんからな。イネス、お前は大丈夫じゃ。お前は八竜筆頭ことブリストルの息子の竜騎士じゃ。誇りに思え!……ああ、お前という息子を最後に持てて、幸せじゃったなぁ……」

 そう言うとイネスの頭を撫でていたブリストルの手は、ぱたっとベットに落ちた。


「じいちゃん?……じいちゃん!?……………じいちゃーーん!!!」


 家の窓は大粒の雫が滴り落ちている。

 外は大雨でまるで、空がブリストルの最後を悲しんでいるかのようであった。




 ピチョンピチョン


 雨も上り、外は晴れ間も見えてきた。

 イネスは立ち上がる。教会に行って、葬儀の準備をしないといけない。

 後、竜王国の人たちにもじいちゃんの訃報を伝えないといけなかった。


 とその時――


 ドギャーーーーーン

 自宅のドアが突然蹴破られる。


「邪魔するぜぇ……おっブリストル! 無事くたばったみたいだな」

「何ですか……あなた達は? 竜王国の方ですか?」


 イネスは来客者の一人、今目の前にいる男が竜族だというのは分かってる。

 すでにこの家は複数人に囲まれているようだが、外にいるのは気配から人族と獣人族のようだった。


「ほう! 俺が竜族と分かるか………竜王国にはずいぶん昔にはいた。だが今は違う。小僧、ブリストルの亡骸を俺に寄越せ!」

「な!? 何でそんな要求をするんですか?」


 そう問いかけると男はクックックと笑っている。何がおかしいのだ。


「晩年は弱っていたとはいえ、腐っても元八竜筆頭。その体は魂が抜けても絶大な力がある。俺が有効に使ってやるから寄越せ!」

「断る! じいちゃんを冒涜するな! 表へ出ろ!」


 家は壊したくなかった。じいちゃんとの思い出が詰まった家は。

 訪問者はイネスのその声には素直に従った。


「お前、Aランクの冒険者らしいな」

「そうだが?」

「クックック、その程度で竜族に逆らおうとはな。勝てると思っているとはおめでたい奴だ!」


 そう言うとその竜族は魔力を解放した。随分と禍々しい魔力だ。

 竜族に周りを取り囲んでいる数十人の者たち。おそらく勝てないだろう。

 だが黙ってじいちゃんを渡しなんかしたら一生後悔する事になる!


「我は邪竜、ジルベルト。逆らうならブリストルの元へ送ってやる! 奴も喜ぶだろう!」


 邪竜? イネスはそんな種族は初耳だったが戦闘態勢に入る。

 ジルベルトだけでなく、家を囲んでいる十数人の人族と獣人族達も警戒する必要があった。

 まずは試しに軽く突きを何発か入れてみる。


「はっ!!」


 ブシューブシュー!!


 あれ、全部攻撃が入ったぞ?


「貴様、何だその槍の攻撃のスピードは!? 全く見えなかったぞ! それに我の体に傷をつけるなど何だその攻撃力は?」


 ジルベルトは何か言っているが、この竜族、あまり実は強くないのかもしれない。

 もう一度っと思ったその時――


 ウヴーーグゥウアァァァァァ


 ジルベルトは黒炎を吐いてきた。

 避けようと思えば、避けれるが………イネスの後方には家がある。

 イネスは槍を回転させ、その炎も防いだ。

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