征服完了
「魔術国家パラツインの平定、お疲れ様でございました。」
ケイン帝国の首都に俺は戻っている。
セバスチャンに合うのも久しぶりだった。
つつがなく帝国の宰相として業務を遂行してくれていたみたいだった。
魔術国家パラツインはハーフェンとの約束通り、我が帝国の属国となった。
「うん、まあ、結局ハーフェン使ったから反則技みたいなもんだけどな。とまあここまではいいんだけど、まだあの国に憂いはある。」
「それはご両親の事ですね。」
流石セバスチャンだ。察しが早い。
実は俺の生家、ザグレブ家については借金を負い、それを俺に擦り付けようとしていた件、更に幼子の俺に労働をさせようとしていた件、そしてあろうことか一部の領民を奴隷として売り飛ばしている事もセバスチャンの事前の調査で分かっている。
やっている事があまりにも酷い為、ハーフェンに頼んで侯爵の権限を一時的に制限してもらっている状態だ。
「ザグレブ家は侯爵の権限が制限された事から借金の取り立てもされるようになっており、また領内では一部、領民から反乱も発生しております。このような状況ですが、ご両親は反省するどころか、裏稼業の人間達を集めて自分たちの警護に当たらせ、更に非合法な事にも手を染めようとしております。」
「全く、どうしようもないな。」
「更に魔術国家パラツインがケイン帝国の属国に、そしてそのケイン皇帝が自分たちのご子息だと知り、我が帝国へ直接たかりをしようと。またその権勢を自分たちに利用しようとしている状況でございます。」
ふーーっと思わずため息がでる。クズにも程があるだろう。
「…………討伐しにいくか。俺が直々。俺を自身の息子だと偽った罪としてな…」
「ご心労……察しいたします。それでは魔術国家パラツインと連携を取り、手配いたします。」
放おっておいても両親がああいう人間である限り、何かしらの災いを生む可能性がある。
ここでケリをつけておくのが最善手でだろう。
俺は部屋の窓を開けて、外の景色を眺める。
今世では両親の愛情には恵まれなかったが仲間には恵まれた。
ラミアにセバスチャン、グラードにエリーゼ。
これで良しとしよう。どんな人間であってもすべてを手に入れる事はできないのだから。
そう、例え皇帝であっても……
「貴様らか! 俺が息子だと虚偽の説明をしている痴れ者達は!」
対峙するは俺の両親。
帝国の兵士によってザグレブ家の邸宅は囲まれている。
腕利きの裏稼業の人間をボディーガードに引き入れているそうだが、この状況ではどうしようもあるまい。
「な、何をいっておるんだケイン? 我々はずっとお前を探していたんだぞ! ほら見ろ母さんを!」
「ケ、ケイン、ああ、そんなに大きくなって! ああ、ずっと会いたかったわ!(泣)」
よくもまあ、いけしゃあしゃあとそこまで嘘が吐けるもんだ。
俺を亡き者として追放、利用できると分かれば戻ってこさせて借金を追わせ、奴隷労働をさせようとしていた人物が。
「ザグレブ家は取り潰し、領主セシウス、及び、その妻ルファスはそのすべての権限を只今を持って取消とする。更に領民を奴隷労働させた、及び、皇帝の俺を自身の息子だと偽った罪により、罪人として終身刑の刑に処す!」
「そ、そんなあ、実の親に対する仕打ちがそれかあ!」
「ケイン、考え直しなさい! 今ならまだ間に合うわよ!」
いやもう間に合わない。今更もう遅い!
「く、くそーーー! お、おい、お前らかかれ! かかれー! こいつらを皆殺しにしろ! それで俺達が皇帝に成り代わってやる!」
父はテンプレのように往生際が悪く、抵抗する。
「ケイン、後は任せといて」
念の為、パラツイン国家内という事でハーフェンも来てくれていたのだが、見ていられなかったのだろう。
「すまんな、頼む。」
自身の兵士の統治権をハーフェンに委ね、その後の処置を任せ、ケインは帝国に戻る事にした。
◇◇◇
「お疲れ様でございました。」
帝国首都の城に戻った俺はセバスチャンに労を労ってもらっている。
これで魔術国家パラツインの平定は終り、憂いも無くなった。
ケイン帝国はこれで辺境の小国ではなく、世界的な国家の一つとして世界中に認知される事となるだろう。
逆に言えばこれからが正念場といえる。
軍事力という面では今まで制圧してきた国家は非常に弱かったからだ。
はっきり言って、俺は自分以外の血を流してまで世界征服をしようとは思っていない。
そういう意味でこれからの征服は非常に難しいものになるであろう。
そんな状況で――
「次はどこを征服しましょうご主人様」
今はラミアのその能天気な脳筋思考が心地よかった。
ここまでお読み頂き、本当にありがとうございます!!
第2章の魔術国家編はここで終了となります。
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続きまして明日からまた連載が始まる、第3章の竜族国家編もお楽しみください!





