卒業課題
一方その頃、ケインの生家では
「全く!まだケインから返事は来んのか?」
セシウスは執事に問う。
「はい、残念ながらまだお返事はないようでございます。」
ふーーーとセシウスはため息をつく。
「神童という話じゃったがそんなに賢くないのかのう? 二つ返事で了承するものだろう」
「そうですわ、侯爵家に戻れるなんてそんな名誉。平民では絶対に無理ですものねえ。」
ケインは帝国を建国しているのだが、そんな事までに両親は調査の手を伸ばしていなかった。
「全く、しょうがない奴じゃ。まあ戻ってきたら仕事を割り振ってやるか。」
「そうですねえ。対抗戦であそこまで戦えるのでしたら冒険者ギルドなどから何かしら受注して稼ぐ事も可能でしょう。」
彼らがたった0歳の実の息子に言う台詞がこれである。
「後、例の件。ケインが戻ってきたら振り替え頼むな。」
例の件とは彼らザグレブ家が負っている借金の件であった。
放漫経営とギャンブルのカジノにハマった事によって大きな借金を彼らは負っていた。
侯爵という身分の為、無理な取り立てはされていないが平民であったらすでに牢屋送りのレベルだ。
「かしこまりました。ケイン様は魔術学園生である為、社会的な信用がございます。おそらく大丈夫であると。」
執事も執事だ。おそらく彼も人の心はないのだろう。
「あなた、ケインがもし労働を拒否したらどうしましょう?」
「もし、そうなれば………人買いに売っぱらってしまえばよかろう! 子などまた作ればいい事よ!」
「そうですね! いい考えですわ!」
もはや外道と言う表現でも足りない両親である。
ケインの母、ルファスに至っては記憶喪失でも起こしているのであろうか。
彼女自身がお腹を痛めて産んだ子であるにも関わらず。
「もし戻ってこんようなら、領兵を向かわせろ。誰を相手にしているか分かれば言う事も聞くだろう。」
「かしこまりました。」
「無用の長物かと思ったら、なかなか役に立つ奴じゃったな!」
はーーはっはっは――と屋敷内に両親の笑い声がこだました。
◇◇◇
「魔族追ぱらったんだから、属国の件、いいよな。」
「うん、それはいいけど、あんた魔術学園生らしいじゃない。」
「うん、そうだが?」
「魔術学園を卒業してからにしなさい。」
はー?何を言い出すんだハーフェンは。こいつもしかして――
「おい、お前、もしかして俺を手放すのが惜しくなったんだろ。なんか面倒くさい事でも俺にやらせるつもりじゃないか?」
「学園の課題として出して上げる。それがこなせたら魔術学園卒業で属国の件、いいわよ。」
この野郎ー。まあでもこの国には俺の生家もある。
こいつを味方につけておけば間違いないからまあしょうがないか。
「しょうがねえな。最大で2つまでだぞ! それ以上はやらないからな。制限しとかないと無限にやらされそうだ。」
「ちぇっまあいいわよ。2つね。何頼もっかなー。楽しみに待っててね。」
俺は魔術学園の学園長室から出た。
なんとハーフェンは5年ぶりの出勤らしい。仕事しろだ。
久しぶりに学園に来た気がする。
そう言えば次元の狭間に飛ばされてからあいつらに会ってなかった。
顔出ししとくか。
「ちぃーーす。」
ちょうど休み時間で俺は教室に顔を出す。
「ケイン君!」
「兄貴!」
「よお、久しぶり!」
レンツェとストラスの二人に今までの経緯を説明する。
「そんな事が。」
「そういや兄貴、皇帝だとか言ってたよね。あれ冗談かと思ってたぜ。」
「という事で俺は後、2個課題こなしたらバイバイだから。」
まあ二人はそれなりに才能はあるし、後は大丈夫だろう。
「ちょっとその課題私も手伝いたい!」
「あっ俺も!俺も!」
えーーなんで手伝いたいの?はっきり言って足手まといなんだけど……
――まあ卒業の思い出作りでいっか!
「分かった!じゃあ課題来たらまた知らせるな!」
そう言って俺は一旦二人と別れた。





