表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

月夜譚 【No.1~No.100】

黒の城 【月夜譚No.21】

作者: 夏月七葉

 誰の名言だったかは忘れてしまったが、この言葉はずっと自分の中にある。ことある毎に思い出しては、勇気を与えてくれる言葉だ。慣れ親しんだ町を出た時も、道に迷って途方に暮れた時も、傍らにはいつもそれがあった。だからこそ、ここまで来られたのだろう。

 少年が胸に掌を当てて深呼吸をすると、それに呼応するように足許の絶壁から風が吹き上げた。薄い色の髪と上衣の裾がはためいて耳障りな音を立てる。しかし、不思議とそれが不愉快でない。

 少年は腕を下ろし、その手で腰に佩いた剣の柄を握り込んだ。振り返ると、二人の青年が力強く頷く。真摯な四つの瞳は、とても頼もしい。もう一度正面に向き直り、天を仰ぐように睨みつける。

 絶壁から絶壁へと伸びた古い吊り橋。その先には、空を突き上げる鋭い尖塔が聳えている。禍々しい空気を纏ったそれは、人々を畏れさせる象徴だ。

 少年は意識して口角を持ち上げると、吊り橋の板に足をかけた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  彼の心を支えた言葉は、どんなものだったのか……。思いの種が尽きないのが、このシリーズの良い所です。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ