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我らは信長家臣団  作者: 大和屋
天下統一編
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97話 作業中にての和歌

私は、小松。

今は、九戸城の再建に臨んでいる。

我が夫・東様は、根城の侍女たちに罰として、給金無しで再建を手伝わせる事にしたのだ。

元々仕えていた家の城が、無残に焦げた状態で焼け残っているのだから、きっと悲観しているに違いない。

「手を止めるな!」

私は叫ぶ。

「・・・」

「・・・」

一見静かにしているようで、よく見ると小声で何か喋っている。

きっと、私の愚痴を言っているのだろう。

だが、そんな事はどうでも良い。

人の上に立つ者は、下の者から愚痴を言われても取り乱す事があってはいけない。

「命令に従え!!」

私は右手でむちを握った。

それに怯えた侍女たちは、慌てて作業に取り掛かった。

言っても分からない奴には、脅しで従わせる他あるまい。

九戸城の残骸を土に埋め、新しい木材で建築を始めた。

基本的に私たちは自由。

作業は侍女たちに任せっきり。

悪徳と言われようが何と言われようがかまわない。

そもそも作業に当たる侍女たちは皆、牢獄に入れられた女たちであって、罰として作業に当たらせているのだ。

牢獄に入れられた女たちに、罰を加えて何が悪い?

その後も、侍女たちが怠けていればすぐに鞭を見せつけ、脅し続けた。

織田家のお墨付きである大滝家に逆らう南部もバカだけど、南部家の侍女もバカ。

素直に従っていれば、脅される事も無いのに。

私だって無力な者たちに圧力をかけたく無い。

ただ、怠ける者が許しがたいだけだ。

それは当然の事だろう。

誰だって、作業を怠けている者を見れば苛立つはずだ。

・・・腹が減った。

太陽も真上に近いし、弁当を食べよう。

私は自分で作ってきた弁当を食べ始めた。

侍女たちは汗だくになって働いている。

さすがに私も完全なる鬼では無い。

私は侍女たちに弁当を配った。

弁当と言っても、道中見つけた宿の残飯だけどね。

だから、経費は無し。

弁当を食べ終わると、暇だから読書を始めた。

古今和歌集とかね。

実は、和歌が大好きだから、東様と遊ぶ時以外は、ほとんど和歌集を読んでいる。

たまに、自分で和歌を作ったりする。

そうだ、今の景色から和歌を作ってみよう。


 罪人に 罰与えしは 常識ぞ 愚痴は言わせぬ この鞭ぞ見よ


できた~。

和歌なんて簡単よ。

三十一文字みそひともじであれば何でもいいの。

ただ、率直すぎても駄目。

自分の思いを何かに例えて、三十一文字に収める。

それだけ。

和歌が得意なら何が得かって聞かれると、出世に興味の無い奴にはお薦めできない話になってくる。

和歌は本来、公家や帝がする遊びだ。

遊びと言っても、公家や帝にとっては教養の一つ。

帝や公家と親しくなるには、和歌で親交を深めるしか無い。

帝や公家と仲良くなると・・・朝廷での発言力が高まる。

つまり、和歌が得意な者は、自分にとって大きな影響を及ぼすかもしれないのだ。

・・・大げさだな。

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