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我らは信長家臣団  作者: 大和屋
天下統一編
90/178

90話 時には嵐のように

「茶々、心配したんだぞ。」

意識を取り戻した茶々に、俺は言う。

「・・・心配するのは私も一緒。」

冷めた目で、茶々は言う。

茶々は普段は可愛い。

だが、その可愛い顔とは裏腹に、心はいつも冷たい。

「私はあなたの事が好きです。このような事は言いたくありませんが、言わせてもらいます。あなた様は、物事を楽観的に考え過ぎです。」

茶々は、俺の悪い所を、遠慮も無くズバリと言った。

「あなた様がただの農民であれば別に良いのです。でも、あなたは大名。もう少し、危機感を持って、物事に当たるべきです。」

俺は何も言えなかった。

「・・・もう、話しても無駄ですね。では、あなたを後悔させてやりましょう。」

茶々はどこかへ行ってしまった。

俺は不吉な予感がした。

俺は城の警備を強化し、茶々の見張り役も数人増やした。

俺は信長様の居る、安土の方角を眺め、祈った。

俺自身、なぜ自分が祈っているのか分からない。

時々、神頼みをしてしまうのも良いと思う。

だが、神などいない。

現代でキリスト教などを信じている人も多数いると思う。

キリスト教の信者を真っ向から否定する訳では無い。

ただ、俺は神を信じていない。それだけだ。

それでも、神頼みばかりしてしまうのが、俺の悪い癖だ。

茶々の言う通り、俺は物事に対する見通しが甘いのかもしれない。

高校受験の勉強の為、進学塾に通った時も、テストの点数は全く伸びなかった。

俺は、先生の出す問題を、8割以上解けるようになればそれで良いと思っていた。

でも違っていた。

「・・・結局俺が悪いのか。」

俺は少し、頭を冷やす事にした。

茶々の言葉を、胸に刻みながら。


 ◆◆◆◆ ◆◆◆◆ 茶々視点 ◆◆◆◆ ◆◆◆◆


言い過ぎたかもしれない。

が、姫というのはそういう物。

時には南風のように暖かく、時には嵐のように激しく接するのが戦国の女。

東様には、自分の甘さを思い知って頂かねば。

夫の欠点を埋めるのも、妻としての役目だ。

私は蔵から金を取り出し、荷車に乗せた。

他にも、薬や着物などを荷車に乗せた。

家出するのだ。

旅人と偽り、各地の情報を集める。

ただ、厄介なのは見張りの存在だ。

私は見張り役たちを、薬で眠らせた。

布で口を塞ぎながら、門の前まで来る。

「御方様、どこへ行かれるのですか?」

・・・やはりこうなるか。

「近くに珍しい花が咲いていると聞いた。見つけ出して、東様に渡そうと思う。」

私は噓を付く。

「不要不急の外出はおやめくだされ。」

・・・うるさい門番。

私は征夷大将軍、織田信長の姪。雑兵どもに指図などされたくない。

「黙れ。私の事を疑っておるのか?それならば、私に着いてくるが良い。」

門番たちは、それに従おうとした。

好機は今だ。

私は門番たちに攻撃を仕掛け、一瞬で気絶させた。

「すまぬな。」

私は走り出した。

最初の行き先は、九州。

情報を得る事が目的でもあるが、それだけではない。

九州は温泉地が多い。

日頃の疲れを癒すのに適している。

私は西の方角を見て、にっこりと笑った。



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