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76話 長女
俺は今、高遠城に向かっている。
茶々は妊娠しているので、極力、側に居てあげたいが、織田家家臣の身である以上、信長様の命令を断るわけにはいかない。
「殿!」
足軽が駆けつけてきた。
「拙者は茶々の方様の伝言を預かり、ここへ参りました。」
「申してみよ。」
「はっ。茶々の方様、御出産。姫にございます。名を考えて欲しい、との事。」
「分かった。そなたは先に高遠へ戻れ。」
俺は遂に父親となった。
誇らしかった。
俺の息子が織田信長の縁者であるという事が。
名前は何にしよう。
そうだ。
勝にしよう。
何者にも負けないように、願いを込めて。
俺は16歳で父親となった。
茶々の血を引く姫なのだから、将来は世界一の美女になるはず。
「殿、おめでとうございます。」
「おめでとうございます!」
お付きの者たちが次々に言い始める。
「皆、落ち着け。高遠に着いたら宴会を催す。」
俺は馬を進めた。
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