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我らは信長家臣団  作者: 大和屋
天下統一編
71/178

71話 突然のお客

「・・・ませ。起きなさいませ。」

小松の綺麗な声が聞こえる。

「何でだよ。まだ4時だろう?」

「何をおっしゃいます?6時です、6時っ!」

「別にいいじゃん~」

「口を慎みなされ、織田信長様がお見えになっておるのですよ!」

小松が放った言葉に、俺は飛び上がった。

「それを早く言え!」

俺は和服に素早く着替えると、奥の間に通した。

「朝早くからすまぬ。」

信長様は言う。

「いえ、構いませぬ。ところで、どのような御用件ですか?」

「そなたに頼みたき儀があってな。」

「頼みたき儀、とは?」

「そなたを帝の接待役にしたいと思う。」

・・・

「断ります。」

「頼む!帝の接待役は責任重大ゆえ、引き受けてくれる家臣がおらぬのだ。そなたなら・・・未来の知識を持つ東なら、帝が満足する接待ができるはずじゃ。」

ん?誰も引き受けてくれない。信長様は困っている。

ここで引き受ければ、信長様も俺を褒めてくれるだろうし、天皇に目を付けられたら、歴史に名の残る有名人になれるかも。

でも、良く良く考えると、大体織田信長のお気に入りとなったら、大して武功を挙げなくても、なぜか歴史に名が残るのだ。

「やります。」

「おお、そうか。引き受けてくれるか。」

信長様は上機嫌のようだ。

「失礼します。」

小松の声と共に、障子が横に動いた。

小松はお盆に乗せている茶を、信長様と俺の前に置いた。

「どうぞ。」

信長様は、小松が点てた茶を、一気飲みしてしまった。

「美味い。自分の点てた茶や、利休の茶だけで満足していたわしが情けないぞ!そなた、名は?」

「小松です。どこにでもあるような名前ですよ。」

小松は笑った。

「ところで、小松殿はどこの育ちなのだ?」

信長様が聞く。

「農民です。」

「ほう。農民であるにも関わらず、このような芸を身に付けているとは。」

「まあ、農民と言っても、母が農民で、父が寺子屋をやっていましたので。父はとても厳しい方で、私に茶道や香道、華道などを叩き込みましたからね。でも、そのおかげで側室候補になれたと思うと、報われた気分がします。」

「賢いではないか。気に入ったぞ、側室になれ。」

・・・

「信長様、大変恐れ多き事にございますが、申し上げてもよろしいでしょうか?」

「構わぬ、言え。」

「その、私はもう既に、東様の側室になっております。」

・・・

「東、頼むっ。一生のお願いだ!小松を譲ってくれ。」

「小松、歳は?」

「13にございます。」

「信長様、自分の姪より年下の娘ですよ。いくら何でもキツイですよ。」

「頼むっ。」

小松は困った表情を浮かべた。

「私は大滝家に嫁ぐ運命だったのです。あの時、茶々様が、父の開いている寺子屋に遊びに来なかったら、私は東様に嫁ぐ事が不可能だったのかも知れません。」

小松の目は、輝いていた。

「信長様にも、運命の人がいるではないですか。濃姫様が。」

「うむ、分かった。」

信長様はあきらめたようだ。

「信長様、この後はどうするのですか?良かったら朝食を御用意させて頂きますが?」

「そうするとしよう。」

「かしこまりました。」

小松は部屋を辞した。


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