70話 茶々の容体
「文学系立身出世大名大滝東!」
俺にぴったりのあだ名だ。
「あだ名最高~、大好き!」」
俺は枕を抱えて転がり始めた。
「東様、何をしていおられるのです?」
茶々が聞く。
「俺の別名は文学系立身出世大名大滝東だ。」
「・・・随分と長いのですね。」
「ああ。長い名前が大好きだ。」
「子供っぽい。ふふっ。」
茶々は笑った。
「お茶、持ってきましょうか?」
「ああ。」
茶々は台所に向かった。
「茶々、体大丈夫なのかな?」
俺は窓の外を眺めながらつぶやいた。
パッリーン
皿の割れる音がした。
「茶々、怪我していないか?」
返答はなし。
俺は台所に行った。
「茶々!」
茶々が倒れていた。
俺は茶々を担ぎ、茶々を寝かせた。
「何事ですか?」
側室になったばかりの、小松や星、菊などがやってきた。
「茶々が体調を崩した。医者を呼べ。」
俺は早口で伝えた。
「あなた様は、相当茶々様がお好きなのですね。」
菊はそう言った。
「あっ。」
菊は俺の頬に禁断のアレをした。
「それくらい、分かりますよ。私たちが脇役という事は。」
菊は微笑むと、庭に出て行った。
「茶々。」
その名をつぶやくと、俺は父親になるという実感が沸いてきた。