66話 奈々
今は高遠城へ帰っている途中。
農民たちが端で頭を下げている中、真ん中に立ち、俺たち一行の行方を妨げる女性がいた。
その女性を見た時、俺は一瞬で気がついた。
「奈々っ。」
思わず名を呼んだ。
「ご名答、お兄ちゃん。」
奈々は笑った。
「馬、乗せてよ。」
奈々は馬に乗り、
「進めっ!」
と叫んだ。
俺は呆れつつも、馬を前に進めた。
「遅い~どうしてこんなに遅いの?」
「当たり前だろ。農民にぶつかったらどうする?」
「むむむ~」
「ところで、お前どうやってここに来た?」
「時間警察庁のメンバーになったのよ。そして、新潟県の農家の記憶を書き換え、私は養子に迎えられたと思い込ませたの。」
・・・奈々なら思いつきそうな事だ。
「お土産もあるよ。四矢サイダーとか、パルピスとかね。」
奈々はニカッと笑った。
このおてんば娘ぇっ。お前が生まれてからというもの、俺はいっさい見向きもされなかったんだぞ。
それなのにお前の我がままに付き合った俺の気持ちを考えろよ。
「ところで、何で新潟県?」
「だって私、コシヒカリ大好きだもん!」
・・・バカめ。戦国時代はコシヒカリはできていない。
歴史のテストの点数が30点をキープしてる理由が分かった。
こいつ、現代と戦国の区別ができてない。
「ん~ムニャムニャ。」
「おい、よだれよだれっ。」
俺は慌てて、懐紙で奈々の口をぬぐった。
「あいがと・・・・・」
奈々は完全に寝てしまった。
「冷蔵ボタン勝手に押さないで・・・坂○英二ヒマ人・・・恥さらし・・・冷蔵とかもすごいね・・
ブロッコリーまだかな・・・それはもう勝手にしてくれ・・・いや聞かないその報道は・・・わずかな報酬は終わった後でな・・・」
こいつ、寝言うるせえな。
「お兄ちゃんかっこいい・・・お兄ちゃん大好き・・・」
・・・意外といいヤツかも。
「お兄ちゃんおもらし・・・お兄ちゃんパンツ一丁・・・」
・・・やっぱ許さねえ。
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