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57話 悩む俺
ん~どうしよう。
「東様、何を悩んでおられるのです?」
茶々は古今和歌集を読みながら、涼しげな声で言った。
「今度は古今和歌集か?気楽で良いな。」
俺は茶々がうらやましかった。
「気楽じゃございませんのよ!古今和歌集は学問の1つにございます!なぜそのような失礼な事をおっしゃるのです!?」
「すまん、悪かった。」
俺は謝った。
「分かればいいのです、分かれば。」
茶々は再び読書を始めた。
「で、何を悩んでいるのです?」
「分国法。法律を決めた事なんて一度も無いからな~。」
「あなた様は信濃を、どのような国にしたいのですか?」
「豊かな国、穏やかな国、楽しい国。」
「なら、豊かで穏やかで楽しい国にするための、分国法を定めるのですよ。」
「そうか!茶々、そなた政治の腕があるな。これから重大な事を決める時は、茶々を頼る。」
「ありがとうございます。」
俺は筆を握り、和紙に分国法を書き始めた。