46話 次なる目標
俺は手に入れたばかりの春日山城の広間で、評定を行っていた。
「兵糧は春日山城にあるものを奪えば存分に残っている。問題は、次の目標だ。」
負傷している森蘭丸が立ち上がる。
「東様、私は高岡城を攻めるのが良いと思います。事前に放っておいた忍びによると、高岡城の守りが手薄になっており、兵も200前後だと聞いております。東様がお決めください。」
「分かった。高岡城を攻めよう。」
俺は戦支度を整えると、高岡城に行軍した。
その日の夜は、大雨となり、今夜は宿に泊まることにした。
宿の主は藤松という名の若い女性だった。
「東様、今宵は存分にお楽しみくださいませ。」
「かたじけない。ところで、藤松殿は我らが憎くないのですか?」
「なぜです?」
「景勝に、心から従ってるのではないのですか?」
「だれがあんなバカに従いますか?上杉家の足軽どもはタダで宿に泊まったばかりか、世話役の女たちをさらっていくのですよ。私は景勝のバカに訴えましたが、そんなこと知ったことではないと無視されました。ひどい話でしょう?」
「そ、それはお気の毒に。」
「東様、宿代は頂きませぬ。そのかわり、必ずや上杉を滅ぼすよう、よろしくお願いいたします。」
「はい。」
本当は臣下の礼を取らせれば、許すつもりだった。
だが、ここまで民からの信用がうすいのであれば、家中の者を全員処断する。
見せしめとしての効果は十分にあるはずだ。
残酷であるが、天下平定のためだ。