44話 畠のスーパースキル
俺が蘭丸の陣に駆けつけると、蘭丸は地面に横たわっていた。
「蘭丸、目を覚ませ!蘭丸!」
蘭丸は17歳。まだ若い。死なせたくない。
それに、蘭丸の正室は江。
つまり、茶々の義兄弟にあたる。
江が悲しめば、茶々も悲しむ。
「東様、ここは我らにお任せくだされ。東様は体を休めてくださいませ。」
俺は蘭丸のことを心配しつつ、政宗の陣へ走った。
「政宗!」
政宗の陣へ向かうと、政宗は片倉小十郎に抱きかかえられていた。
「小十郎。案ずるな。今すぐ医者を探す。」
俺は陣にもどると、命令を出した。
「伊達政宗、森蘭丸が負傷した。これより我らは、最高の治療を施す名医を探す。」
俺は焦っていたのか、頭が少し熱かった。
「あの。」
畠が話しかけてきた。
「どうした、畠。」
「その方は、まだ体内に弾が残っているのですか?」
「ああ。」
「ならば、私が取って差し上げましょうか?」
「できるのか?」
「はい。」
「分かった、ついてこい。」
俺は畠を蘭丸の陣へ案内した。
「体を縫うので、数日後に針を抜きます。」
この時代には、麻酔がない。
さぞかし痛いだろう。
「蘭丸様、ご安心ください。麻酔というものがありますゆえ、痛くございません。」
は?麻酔?
畠は液体を注射器に入れると、傷口に刺した。
蘭丸は少し顔をしかめたが、それ以上は何も変わりなかった。
畠はピンセットをうまく駆使し、弾を取り出した。
政宗の場合も手際よく弾を取り出した。
「畠、そなた手術がうまいのか。」
「私失敗しないので。」
「ところで、麻酔はどこで手にいれた?」
「自分でつくったんですよ。」
「方法はどうやって知った?」
「勘です。夢で見たんですよ。」
意味が分からない。