34話 大義名分
1582年7月1日。
俺は日本に帰国した。
その間にいくつもの騒動が起こったらしいが、それは置いておこう。
「義父上様、お帰りなさいませ。」
三法師は「側室の子」という事で廃嫡された。
三法師は「とうしゅはきゅーくつだから、がんばってほしいなあ。」とかわいい声で言っていた。
「でも、のぶまつをほさするしごとはゆずらない。」とも言っていた。
そして当主の母となった松姫様は、織田家ナンバー4の権力をにぎった。
ナンバー1は織田信長様。
ナンバー2は濃姫様。信長様の正室。
ナンバー3は織田信忠様。
そしてナンバー4が松姫様だ。
「よからぬ騒動の起因となってしまいましたが、これからは心を改め、織田家の発展に尽くしてまいります。」
「うむ。勝頼の怨念に獲りつかれていたのだな。許す。」
「はい。」
信長様の元へ、信松の乳母が来た。
「義父上様、こちらが信松にございます。どうぞ、抱いて下さいませ。」
「おお、信松か。」
信長様はうれしそうに抱いた。
「この子のためにも、早く天下を取らねばな。」
「ところで信長様。信長様は政夷大将軍になるよう朝廷から言われましたよね。どうして断ったんですか?」
「お飾りなど嫌だ。」
「でも、幕府開けませんよ。」
「幕府を開くのは毛利、長宗親を倒してからじゃ。」
「その大義名分としてなる必要があります。」
「分かった。恩人がそこまでいうならしかたあるまい。」
こうして、信長様は征夷大将軍になった。
ちなみに俺は右近衛大将に就任した。