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32話 ワイン風呂
ん~、実に気持ちの良いお風呂だ。
できるなら、一生このままでいたい。
が、それは無理な話だ。
東北は少し寒いので、お風呂のお湯がより温かく感じる。
ここで豆知識。
戦国時代では、入浴する事を行水と言うらしい。
歴史好きを名乗るなら、このくらい知っておかないと恥をかく。
「いつまで浸かっているのです?長湯はよくありませんよ。」
浴室の外から茶々の声が聞こえてくる。
でも、忠告はガン無視する。
「ちょっと、聞いてます!?」
「聞いてるよ。」
「じゃあ、早く部屋に戻りましょうよ。」
「もう少しー!」
「もう少しというならば、後何分で部屋に戻るか教えてください。そして、決めた時間ぴったりに部屋に戻らなければ、どうなるか知りませんからね!」
お風呂から上がると、使者が来ていた。
「松姫様が御出産なされました。男子です。母子共に元気です。名は、信松となりました。」
信松。
使者によると、信忠様の『信』と松姫様の『松』を合わせた名前らしい。
・・・うらやましい。
俺も子供欲しいなあ。