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我らは信長家臣団  作者: 大和屋
天下統一編
31/178

31話 発覚

信長の暗殺に失敗した松姫は、苛立ちを隠せなかった。

「さくら、どうすれば良い?どうすれば私は、兄上たちの仇を取れる?」

「落ち着いてください。」

兄の敵討ちに失敗した松姫が、冷静でいられる訳がない。

自分は一生懸命にやっている。

落ち着いているという事は、一生懸命にやっていない証拠だとみなした松姫は、さくらの頬をぶった。

「兄上たちの仇が討てない。これが何を表すのか分からないのか?このままでは、亡き兄上たちに顔向けできぬ。どうすれば・・・」

(まるで魑魅魍魎ちみもうりょう憑依ひょういしたようだ)

さくらは、自分の主君を軽蔑けいべつした。

信長がポルトガルに行く為、船で港を発った頃から、松姫は変わった。

姫が話す言葉とは思えないくらい下品な言葉を使うようになってしまった。

趣味しゅみも変化した。

以前のような、薄い色を使用した、無駄が省かれた着物は捨て、豪華な着物を好んだ。

(もしや、松姫様の兄の怨霊が・・・?)

甲斐の虎こと武田信玄は、正室を軽んじる事はなかったが、側室も大勢迎えた。

有名なのは、諏訪御寮人だろう。

松姫の2人いる兄のうち、1人は仁科盛信である。

2人目の武田勝頼とは違い、松姫と同腹の兄である。

勝頼は信濃の名門・諏訪氏の流れを汲む武将だ。

だから、信長の事を成り上がり者と馬鹿にしていた。

その成り上がり者に殺された勝頼は、かつてない憎しみを抱いた。

(盛信様と勝頼様を比較すれば、勝頼様の方が未熟だった。つまり、松姫様に憑依したのは勝頼様・・・?)

突如、体の中心から何かが湧き出てくるのに気がつく。

怒りだ。

美しかった主君を、どこかの愚民ぐみんのように、寛大かんだいな心も衛生観念もないような女に変えた勝頼を、許せる訳がない。

「とにかく、信長たちと敵対していて、今でも生存している者の情報を集めろ。」

「御意。」


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