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26話 進路変更
「怨念、か。」
信長様は使者から聞いた報告を、険しい顔で聞いていた。
「伯父上、どうかなされたのですか?」
茶々が聞く。
「松が信忠の食事に毒を入れたそうだ。信忠はすでに死んだそうだ。」
信長様は怒りをふつふつと湧き上がらせた。
「はっはははははっ。東、うそだうそ。」
「はあ。自分の子供が死んだとかいううそつく親いるか?」
「ちがうちがう。松は信忠が死んだと思い込んでいるが、信忠は猛毒に対抗する薬を投与されているからの。しかし、松をあせらせるわけにはいかぬから、死んだという事を信じているふりをするのだ。」
「ふっ。そういう事ですか。」
安心安心。
「それと、さくらという方から密書が届いております。」
さくら?
ああ、松姫様の侍女ね。
「長宗親元親の水軍がこちらに向かって来ている。進路変更!東北へ避難だ。」
船は東北へと進んでいった。