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20話 勝頼の野望
我は諏訪勝頼。
諏訪、とは母の諏訪御寮人の実家の事。
正しくは、武田勝頼。
我は天王山で自害したが、信長憎しと唱えながら死ぬと、怨霊として現世に踏みとどまることができた。
怨霊は実体がないので、刀を持つ事は不可能。
だが、誰かの体を借りて、刀を持つことならできる。
なら、誰に獲りつけばいいだろうか。
やはり、松しかいないか。
となると、岐阜城に行かなくては。
誰から殺そうか。やはり、異母弟の仁科盛信の仇、信忠から殺すか。
松には悪いが、やってもらわねばなるまい。
お家再興のために。