最終話
「生まれましたよ、東様」
よかった、と安堵して赤子を抱く。俺の息子だ。長男だ。
「よくやった、小松!」
「ありがとうございます・・・東様?」
似ている。似ている。勝にも似ているし、轟にも似ている。
轟も江に似ていた。
まさかとは思うが、生まれ変わりかもしれない。
輪廻転生。その言葉を俺は信じている。
つらいことはあった。数え切れないぐらい。でも希望もある。
これからも生きていく。
大切な人たちに支えられながら。
その途中でまた、新たな出会いがあるだろう。
茶々は完全にとまではいかないものの、城外を散歩するようになった。
菊は曲直瀬殿の治療によって回復した。
「私が生き残るなんて」
と涙を流しながら言っていたが、最近は笑顔も増えてきている。
これは贖罪だ。
二人のかわいい娘を死なせてしまった、俺の償いだ。
自殺することなど許されない。
勝と轟は生きたくても生きられなかったというのに、あと何十年も生きることができる俺がその権利を放棄するなんて。
あの二人の分まで、強く強く生きる。
茶々と、菊と、そう約束したんだ。
私の実力不足で、こんなラストになって申し訳ございません。
次の作品は成功させたいと思います。