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我らは信長家臣団  作者: 大和屋
輪廻編
176/178

176話 大罪

勝と轟の乳母は、健康的だ。

だから、授乳に問題があったとは考えにくい。

なら、何が問題だったのだろう。

生まれつきか?

いや、違うだろう。

茶々も菊も、大名の娘だから、栄養は十二分に摂っているはずだ。

曲直瀬殿に聞いてみよう。

「曲直瀬殿、我が娘の病状は如何であるか?」

「かなり病が進行していると思われます。乳母は、誰が務めているのですか?」

「勝も轟も、農民の娘が乳母を務めています。」

呆れた、という感じで曲直瀬殿は溜息をつく。

「大滝東様、あなたはもう少し、子育てについて学ばれた方がよろしいかと。」

「えっ!?」

いきなりこの医師は何て事を言うんだ!?

人の家庭に首を突っ込むなんて、失礼にも程がある!

「私には1人の子供がいますが、子供の乳母はなるべく身分が高い者に任命しています。栄養が十分に摂れていない農民の娘を乳母にするなど、論外です。」

「では、こちらへ。」

勝と轟の乳母を曲直瀬殿と会わせてみた。

「なるほど、農民の娘にしては健康的ですね。授乳が原因ではなさそうです。」

曲直瀬殿は屋敷をうろうろすると、大広間で足を止めた。

ほこりが目立ちますね。これだけ広ければ人手が足りないのは致し方ない事ですが、聊か手抜きでは?大広間の掃除を担当をしている小姓もしくは下女を連れてきてください。」

「大広間の掃除を担当している者は全員、疲れたというので暇を出しました。」


ドタドタドタ

誰かが走る音がする。

「曲直瀬様、東様!勝姫様と轟姫様が息をしておりません!」

若い侍女は、早口でそう告げた。

何を言っているのか意味が分からなかったが、しばらくしてようやく分かった。

心肺が停止した状態。

蘇生は不可能。

つまり、俺の宝物はこの世から消えた。

俺の不注意のせいだ。

蘭丸が死んだ時から、誰も死なないようにずっと注意しながら暮らしていたのに。

まだまだ甘かった。

ごめんなさいで済む事ではない。

命をもって償わなければいけない大罪を犯した俺は、頭が狂っている。

これから俺は、周りの人々に滑稽だと指をさされながら生きていくのだろう。




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