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我らは信長家臣団  作者: 大和屋
輪廻編
175/178

175話 重病

高遠に帰還すると、大勢の農民たちが出迎えてくれた。

初めて高遠の土を踏んだ時は、畑も荒れていて、人口も少なかったのに、今ではこんなに賑やかになっている。

「お帰りなさいませ。」

側室たちも出迎えてくれた。

「あの、少しよろしいでしょうか。」

小松が不安そうに尋ねた。

「かまわない。」

「大声で話す事ができない件なので、こちらに。」

何だろう?

「勝の体調が優れないです。食が細く、1日に2回以上嘔吐する事もありました。」

かつ

俺と茶々の間にできた子供だ。

ごうは?」

轟とは、俺と菊の間にできた子供の事だ。

「轟も、体調が優れません。どちらかというと、轟の方が重いです。医者に診てもらったのですが、当てはまる病気はないと言われました。」

「どんな症状だ?」

「幻覚や幻聴、吐き気や眩暈めまい、頭痛などです。何か分かりませんか?」

「分からない。」

幻覚や幻聴は、覚醒剤を飲んでいる人の症状だ。

しかし、この時代に覚醒剤なんてあるはずがない。

それに、勝と轟に飲ませても、何の得にもならないはずだ。

眩暈や頭痛は、風邪をひいた時によくある症状。

ただの風邪であればいいのだが、幻覚や幻聴までするのであればおかしい。

「勝も轟も幼子ゆえ、大病をわずらえば一大事でございます。如何いたしますか?」

「名医を呼ぼう。曲直瀬道三は知っているか?」

「ええ、知っています。都でも評判ですから。」

「曲直瀬を呼べ。」

「しかし、名医を呼ぶには大金が要ります。」

「かまわぬ。命には代えられない。」

「曲直瀬様が重病の2人を同時に治療するのは難しいと思いますが。」

「正室の子である勝を優先する。」

「それでは菊様と轟が可哀想です。」

「勝は正室の子であり、天下人の親戚だ。優先順位を考えれば当然だろう。」

「ですが・・・」

「これ以上、話す事はない。」

菊の言葉を遮り、城の門を潜った。

「んもう!」

という小松の腹立たしげな声は聞こえなかった事にする。


小松の言う通り、轟の方が重いようだ。

しかし、轟は側室の子だ。

正室の子を優先するのが戦国の世の習い。

それは、菊も十分理解しているだろう。




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