170話 地獄に落ちろ
◆◆◆◆ ◆◆◆◆ 奈々視点 ◆◆◆◆ ◆◆◆◆
昨日、親王と正式に祝言を挙げた。
元々、私は肌が綺麗なので(自分で言うな)おしろいをしなくても十分なのに、大量のおしろいをまぶされたのだ。
媒酌人は勧修寺晴子。
親王の実母なので、私にとっての義母だ。
義父は既に亡くなっている。
さあ、今日から頑張らないと。
◆◆◆◆ ◆◆◆◆ 俺視点 ◆◆◆◆ ◆◆◆◆
重臣たちからの意見もあり、俺は蘭を殺す事にした。
殺したくない。
生かしておきたい。
野原に咲く花のような、あの儚げな笑顔が好きなのだ。
だが、重臣の意見は絶対に等しい。
でなければ、関係が悪化してしまう。
「東様、東様!」
侍女に呼びかけられるが、言葉が出てこない。
ばしんっ!!
頬がひりひりと痛む。
茶々に平手打ちされたのだ。
「人の話を聞く時は、話し手の目を見なければいけないと習わなかったのですか?さあ、用件を言いなさい。」
「そっ、その、信長様がお亡くなりに・・・」
俺は目を見開いた。
茶々も驚いていた。
「何故・・・何故伯父上が・・・回復していたはずなのに、何故・・・」
茶々は遂に泣き出した。
「信じられない。仮死状態なのかもしれない。鼻の穴にネギ突っ込めば息を吹き返すかもしれない!」
混乱して、日本語がおかしくなる。
「既に、信長様の遺体は火葬されています。」
「そんな・・・」
◆◆◆◆ ◆◆◆◆ 茶々視点 ◆◆◆◆ ◆◆◆◆
許せない。
伯父上を殺した奴は誰だ?
憎い、憎い!
「伯父上の食事を配膳していた奴は誰か分かりますか?」
「多分、蘭だと思う。」
あいつが・・・
あの糞野郎。
地獄に落としてやる。