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我らは信長家臣団  作者: 大和屋
輪廻編
166/178

166話 過去

◆◆◆◆ ◆◆◆◆ 蘭視点 ◆◆◆◆ ◆◆◆◆

血で汚れた信長様の手を取り、水で濡らした手拭いで拭く。

「すまない。」

「いいえ。これが私の仕事ですから。」

信長様と言葉を交わす事は殆どない。

私が無口だからだ。

「・・・蘭。」

「はい。」

「わしの小姓たちは・・・」

「・・・手を尽くしましたが、お亡くなりになられました。」

「手を尽くした?笑わせるな。お前はわしの治療しか担当していないだろう。わしを優先し、多くの若者たちの命を見捨てた。」

「なら、あなた様は死んでもよろしいのですか?」

「かまわない。」

こいつ、何を言っている?

怒りで体が震える。

死にたいなんて軽々しく口にして、馬鹿なんだろうか。

私は決して良い家柄ではないし、裕福でもない。

もう1度、あの頃を思い返してみよう。


◆◆◆◆ ◆◆◆◆ 蘭の過去 ◆◆◆◆ ◆◆◆◆


蘭は、越後の春日山城の城下町で、百姓の娘として誕生した。

姉2人、兄1人、妹3人、弟2人の大家族。

長姉、ぎんは町で評判の美女で、豪商の長男と婚約していたが、通り魔に襲われて死んだ。享年14歳。

次姉、やすは吟の代わりとして豪商に嫁ぐが、しゅうとめにいじめられて自殺した。享年15歳。

兄の秀哉ひでやは、川で溺れた蘭を助けようとして死んだ。享年13歳。

妹の中で最年長のふくは、口減らしの為にどこかへ売り飛ばされた。

二番目に年長のゆめは、人攫いに攫われた。

最年少の百合ゆりは、市場に出かけて迷子になってそのまま行方不明。

弟の中で最年長のるいは、兄の秀哉の死を悲しんで絶食し死んだ。享年10歳。

最年少の優河ゆうがは上杉家の足軽に攫われた。

蘭は不細工に見えるような化粧をして、身を守ったが、兄弟は既にいない。

命の大切さを知った。

だから、簡単に死にたいという人が嫌いになった。


◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆

貧しいと、医者に診てもらう事もできない。

病気になれば、確実に死ぬ。

それなのに信長様は、豊かな生活が可能であるにも拘わらず、死にたいと言っている。

毒を盛ってやろう。

即効性の毒だと死刑にされてしまうから、遅効性の毒を使う。

まあ、天下の織田家の事だから、すぐにばれるでしょうけど。




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