160話 次女誕生
ロシアに勝利したとはいえ、ロシア領はまだイウァン4世が統治している。
その為、俺は高遠に帰らずに安土城に泊まる事になった。
慣れない場所なので、道に迷うのは日常茶飯事。
だが、そんな生活もそろそろ終わりだ。
ロシアが、船で朝鮮を攻撃したらしい。
朝鮮は既に織田家の領地だ。
朝鮮では、織田家の一門衆である蒲生氏郷が頑張っている。
早く応援に行かなければならないが、兵糧や募兵の問題もあるので、すぐには行けない。
やる事がなく時間を持て余していた俺に、朗報が舞い込んできた。
それは、高遠城からの文。
菊が、姫を産んだそうだ。
これで俺は、二十歳になる前に、2人の娘を持つ事になる。
名前は何にしよう?
顔を見て決めよう。
一週間が経過した。
募兵が完了したので、俺たち一行はロシア軍と対峙した。
血が騒ぐ。
体が熱くなる。
法螺貝の音が響く。
織田軍は、ロシア軍に襲い掛かる。
数で判断すれば、この戦、俺たちの勝利だ。
でも、数だけでは勝てる訳がない。
雑兵たちはすぐに殺せるが、部隊長レベルになれば難しい。
「くそっ。」
本陣に辿りつけない。
雑魚共が邪魔をしてくる。
しかし、イウァン4世は自らこちらに向かってきた。
好機到来!
「一騎討ち!」
危険な賭けだ。
勝利する確率は、2分の1。
やろう。
この命が果てるまで、永遠に心を燃やす。