153話 覚悟
親王の婚約者である奈々様が、安土城に遊びに来た。
この機を逃す訳にはいかない。
貧弱な私が宣祖を討つ為には、あの方法しか思いつかない。
庭で、奈々様を呼び止めた。
「お願いがあるのです。○○○○○○○○○○○○○○○○○○?」
「○○を縄で体に固定します。ですが、なぜそのような物騒な事を?」
「私は、蘭丸様の仇を討つ為には自分の命がどうなろうとも良いと思っていますので。」
妃の見習いとして厳しくしつけられた奈々様は、動揺しなかった。
「○○を、作ってください。」
「分かりました。」
「大量に。」
「ええ、分かっています。」
奈々様は機械いじりが好きだと言っているから、5日ほどで完成するだろう。
「ほら、江。起きろ!」
「あ。おはよう。」
朝ごはんを食べて、奈々様に会いに行った。
「できましたか?」
「できましたよ。これを縄で体に固定します。こちらの機械を指で押すと、爆発します。」
「ありがとうございます。」
礼を言って、部屋を辞した。
朝鮮の空気を初めて吸い、朝鮮の土を初めて踏んだ。
そもそも、外国に行く事自体初めてだ。
「江、朝鮮を占領したら、何する?」
「私は、朝鮮の衣装が着たいな。」
「なるほど。」
残念だけど、朝鮮を占領した時には私は生きていない。
だって、宣祖を討つには、私が死ぬ必要があるから。
別に死ぬことは怖くない。
だけど、茶々の姉上や初の姉上、母上を悲しませる事はしたくない。
蘭丸様が姑の妙向尼様は、「必ずや、我が息子の仇を討て」と言って自害なされた。
妙向尼様の覚悟を無駄にしない為にも、私は死ぬ。