15話 森力丸
「森力丸?」
「ああ。貴様が本能寺で救護していたやつじゃ。そやつが、家臣になりたいと言っておる。今日中に会ってこい。」
「どこの部屋ですか?」
「小松という名の部屋は知っておるか?」
「はい。」
「そこだ。」
小松の部屋に行ってみると、確かにあの時のイケメン男子がいた。傷がそこそこな深さだったため、回復に時間がかかったそうだ。
「森力丸にございます。到底戦には出馬できませんが、せめて家臣になりとうございます。」
「許可する。本日より我が大滝家の名に恥じぬよう、はげめ。」
「ははっ。」
「ただし、家臣になるには掟がある。
一、農民と親しくすること
一、身分を考慮せず、有能ならば家臣になるよう説得すること
一、無理をしないこと
一、何かあれば、遠慮なく申すこと
以上の掟に反するようなことがあれば、それ相応の処罰を与える。」
「心得ました。」
農民=住民
そういう考え方をすると、俺は農民ということになる。
だから、身分を考慮するやつは許さない。
有能であればそれで良い。
無理をする。それもきらいだ。
俺の家臣には、無理をせず、楽しい生活を送ってほしい。
遠慮をする。俺が、一番きらいなこと。
主君の顔色ばかりうかがって、主君の言うままにする。
ごまをするのと同じ行為だ。
確かに、言って傷つくこともある。
でも、俺が言いたいのはそれじゃない。
必要だと思うなら、遠慮なしに言ってほしいのだ。
俺だって、まちがえるのだから。