147話 朝鮮会議
稼いだお金で、足軽を大勢雇った。
全ての部隊を合わせると4万人だ。
今回もまた、妻たちを連れて行くことはできない。
美濃の国境を越え、信忠様の軍と合流し、そのまま近江で信長様と合流した。
夜、陣幕の中で、評定は行われた。
「忍びによると、敵の軍勢は11万人、こちらは10万人。数からすると不利に思うかもしれないが、戦は数ではなく戦法。それゆえ、皆の意見を聞きたい。」
やはり、評定の進行役は信長様だ。
「俺は、炎や岩を利用した戦法が良いと思います。」
「東よ、それはどのような戦法なのじゃ?」
「低い土地に敵を誘い込み、その上から岩を落としたり燃えている木材を落としたりする戦法です。」
「なるほど。他の意見は無いか?」
誰も口を開かない。
「ならば、東の戦法を採用する。これにて、評定を終わる。」
与えられた部屋で、配膳された食事を食べた。
家臣は居るが、立場が違うので気軽に話すことはできない。
やはり、家族が一番だ。
夜伽も出来ないし、退屈。
どうしよう?
文系の俺の血を騒がせる物は、ここにないのだろうか。
昆虫採集?
それは理系がすることだ。
読書好きとはいえ、文系がファーブル昆虫記を読んでも、頭が混乱するだけだ。
フィクションやエッセイなら楽しめるのだが、図鑑は脳が追いつかない。
日記だ、日記。
日記でも書こう。
筆先に墨を含ませて、和紙に丁寧な字で、今日発見した事や思ったことを書く。
ああ、もうマジで最悪!
墨がこぼれた!
って、服も汚れた!
「ら、ら、ら、蘭丸~。」
弱弱しい声を出した。
「はい。って、殿!?」
驚いた蘭丸は、小走りでどこかへ行ってしまった。
「蘭丸~、どこ行くんだよお~。」
早く拭き取らないと、墨が乾いてしまう。
数分後、蘭丸が雑巾を手に戻って来た。
が、既に時遅し。
うなだれる俺を、蘭丸が必死に励ます。
「服などまた買ってしまえば良いのです!そこまで落ち込む必要はございません!」
「お前は知らないだろうが、これは茶々が譲ってくれた大事な大事な服で、世界に1つしかない俺の宝物なんだよお~!」
泣けてくる。
ごめんな、と、高遠城にで待機している茶々に詫びる。




