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我らは信長家臣団  作者: 大和屋
朝鮮出兵編
145/178

145話 夢

松姫様は、数日の間高遠城に滞在すると、岐阜城へ帰っていった。

「茶々様。」

蘭が、茶々を呼んだ。

「何ですか?」

蘭が、茶々に耳打ちした。

「まあ。分かりました、と伝えてください。」

何を話しているのだろうか。

「茶々、何を話していたのだ?」

「教えません。隠し事をするのは嫌ですが、あなた様の喜ぶ顔が見たいと思ったゆえ。」

喜ぶ事?

「それはさておき、東様は・・・」

「申し上げます!」

茶々の言葉をさえぎったのは、蘭丸。

「菊様が産気づかれました!」

「ええ、ホント!?」

はしゃぐ幼稚園児のような声を出してしまった。

喜んでいる俺とは違い、茶々は溜息をついている。

「ダメですよ、蘭丸。東様には秘密にしようと思っていたのに、勝手に報告しないでください。」

「も、申し訳ございません。」

茶々はもう1度溜息をつき、口を開いた。

「という訳です、東様。私の推測では、後2時間ほどで産まれるかと。」

2時間か。

「それまで、寝ていたらどうですか。最近、睡眠時間が短くなっているではありませんか。」

「そうだな。」

自室に布団を敷いて、横になった。

目を閉じる。



気がつくと、俺は真っ白な世界に居た。

周りには何もないが、真正面に祖母が立っていた。

「祖母ちゃん?」

話しかけると、祖母ちゃんは不機嫌になった。

「あんた、今までどこにいたんだよ?」

相変わらず、口が悪い。

「戦国時代にタイムスリップしてた。」

信じられない事だろうから、きっと噓だと言われるだろうと俺は推測した。

しかーし!

「・・・あっそう。」

「って、噓だと思わないのかよ。」

「あら、噓なのかい?」

「ええ?」

「まあ、そんな事はどうでもいいんだよ。私はあんたに重要な話をしようと思っているのだが・・・」

おいしそうな話があると、すぐよだれを垂らす祖母ちゃんの事だ。

きっと、右手を差し出しているのだろう。

うん、やっぱり差し出していた。

「ほれ。」

ふところになぜか金が入った袋があったので、それを渡した。

祖母ちゃんはそれを懐にしまうと、再び手を出した。

このBABAA!

と心の中で叫びながら、仕方なく袋を渡した。

「話してやるよ。落ち着いて聞け。・・・朝鮮を攻めれば、江は死ぬ。」

「何でだよ?」

「・・・くれ。」

また、金を要求するのか。

この成り金ババア!

「もうない。」

「じゃ、話す訳にはいかないな。」

「ドケチ。」

キレた祖母ちゃんに膝を蹴られた。

脱臼した時と同じような痛みだ。

「とにかく、朝鮮出兵はやめな。」




・・・夢か。

夢で朝鮮出兵をやめるよう促されても、絶対にやめない。

あの元気な江が死ぬ訳がない。



3ヶ月後、俺は今までに感じた事のない大きな悲しみと怒りを感じる事になる。





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