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我らは信長家臣団  作者: 大和屋
天下統一編
141/178

海の彼方へ

急遽きゅうきょ、信長様から安土城へ登城するよう命令が下った。

俺だけではなく、信長様の家臣団全員が。

恐らく、大声では言えぬような話なのだろう。

「私も連れて行ってください。」

勝の生母・茶々が言う。

「お前は勝の面倒を見ていろ。」

「勝の面倒は侍女に任せます。どうか、私もお供させてください。」

頑固がんこ

「分かった。」

どうしても、近江おうみに行きたいのだろう。

安土城に登城すると、極めて珍しい光景が広がっていた。

大広間に、信長様の正室、側室が座っている。

手前には、信長様の侍女や家臣やその家族、小姓たちも座っており、信長様が口を開くのを待っている。

「東、お前はここに座れ。」

信長様が扇子で、ここに座れと指図した。

「はい。」

俺は織田家の親戚衆だから、織田家での地位はそこそこ高い。

「皆、心を落ち着かせて聞け!」

信長様の声を聞き、くつろいでいた侍女や家臣達も、一斉に頭を下げた。

「わしは征夷大将軍に任ぜられ、若い頃から実現したいと思っていた天下布武を成し遂げた!だが、このままで終わる訳にはいかぬ!海外と貿易し、世界に進出する!」

家臣達がざわめく。

「信長様、世界へ進出するのは不可能でございます!折角せっかく戦乱の世が終わったというのに・・・」

佐々成政さっさなりまさが反対した。

「黙れ!民が困らぬ程度にすれば良いのだ!」

信じられない。

世界に・・・進出?

さすがは尾張の大うつけ、そこまで考えていたのか。

日本を統一しただけで満足した俺が恥ずかしい。

「されど、信長様。世界は広く、信長様が生きている間に世界を平定するのはかなり困難かと・・・」

「東がおるではないか!時代の最先端を行く、東が!」

ええっ、俺?

茶々はニンマリと笑っている。

ちょ、ちょっと待って。

時代の最先端を行くのは信長様じゃないの?

何で、俺?

意味不明なんですけど。

「それでも・・・」

「成政殿!!!」

信長様の意見に反抗し続ける成政の言葉を、前田利家がさえぎった。

「我らは信長公家臣団のぶながこうかしんだん!信長様の夢の為ならば、たとえ火の中水の中!それが信長公家臣団の心得ではないのか!?」

「利家、信長公家臣団ではなく信長家臣団と言え。これはわしからの命令だ。」

承知しょうち!それでは言わせてもらう。我らは、信長家臣団!」

利家の一喝によって、世界進出反対派の意見は抑え込まれた。



茶々と共に、若狭湾を眺めた。

折角せっかく近畿きんきに来たので、行ってみようと思ったのだ。

「信じられませんよ。」

茶々が言った。

「何がだよ?」

「伯父上が、世界に進出するだなんて・・・」

「そうだよな。信じられないよな。」

この綺麗な海の先には、まだ知らない世界がある。

ハワイやグアムには行った事があるが、スペイン、オーストラリア、ロシアなどの国は行った事がない。

日本だけではつまらない。

世界各地を巡り、その国の歴史や文化に触れる事によって、自分の世界観が少しずつ変わっていく。

「行こう。」

「どこへ、ですか?」

「・・・海の彼方へ。」



これで天下統一編が終了しました。

次は、世界進出編です。

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