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我らは信長家臣団  作者: 大和屋
天下統一編
127/178

127話 冷酷なプリンセス

四国に上陸した。

どうやら、元親は民に慕われていたようだ。

民が、「元親様を救え!」と叫びながら突っ込んでくる。

「皆・・・」

手足を縛られている元親は、自分の為に立ち上がってくれる民に涙を流していた。

「悔やめ、その命が果てるまで。お前は民の期待を裏切ったのだ。織田家に宣戦布告する、その度胸だけは褒めてやる。だが、油断したな。お前の軍事力と織田家の軍事力には、圧倒的な差があるのだ。

四国の田舎者が、征夷大将軍に勝てる訳がないだろう。」

元親は歯を食い縛り、茶々からの侮辱に耐えている。

意外と、茶々は毒舌だ。

「あの女を殺せ!」

民は茶々に矢を放った。

矢が茶々の足や肩に刺さる。

それでも茶々は表情を変えない。

民を睨んでいる。

茶々は火縄銃で民を撃ち殺した。

美しい茶々の髪が、風になびく。

「邪魔だ、愚かな人間ども!」

低く、凛とした声だった。

「愚かだと!?」

「殺してしまえーっ!」

あー、うんざりする。

しつこい。

「信長様、大砲ってあります?」

「ああ、あるぞ。」

「貸してください。」

信長様は承知し、足軽たちに大砲を撃たせた。

太陽が真上に来る頃には、民は全滅した。

民に手を合わせていると、茶々に扇で叩かれた。

「武士に情けは無用。行きましょう。」

冷たい。

どうして茶々は、優しさというものがないのだろうか。

「すまぬな、東。」

「信長様が詫びる必要はありません。」

「茶々は、きっと実力で命の重さを区別しているのだろう。極悪な女と思うかもしれないが、役立たずを嫌うのはわしと同じだ。ただ、幼い頃に父を亡くし、性格が歪んでしまっただけなのだ。」

「・・・」

「伯父上、東様、早く行きましょう!」

茶々が叫ぶ。

元気な声だったが、心は冷たいままだと思う。

「ただ、茶々には誰も持っていないような潜在能力がある。」

「潜在能力?」

「ああ。時々、危険な匂いがするのだ。」

危険な匂い?

何だそれ?

「とにかく、行くぞ。」

「は、はい。」

馬に乗り、岡豊城の近くに布陣した。

「攻めよ!」

大軍が、1つの城に攻めかかった。

侍女や子供までもが、男と混じって戦っている。

なるべく侍女や幼い子供は殺さないようにした。

でも、茶々は、反抗しない侍女も殺す。

冷たい目で、当たり前のように人を殺す。

「茶々、侍女や子供は殺すな!」

「無理です。」

逃げ惑う人々は、茶々によって残酷に殺されていった。

「やめろって!」

「無理です。」

「どうしてだよ!?どうして罪の無い人を殺す!?」

「少し黙ってくださいな!」

どうしてだ、どうしてだどうしてだ。

初めて会った時は、あんなに可愛かったのに。

大人しかったのに。

これが本性なのか?

信じたくないから、もうやめてほしい。

人を殺す茶々なんて、美しさの欠片もない。

「!」

俺は目を見開いた。

斬られた。

茶々が、名も無き雑兵に、斬られた。

「茶々!」

俺は駆け寄る。

「大丈夫か!?」

様子がおかしい。

茶々が小さな声で笑っている。

「クククククッ。」

狂気に満ちた顔で、茶々は雑兵に襲い掛かった。



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