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我らは信長家臣団  作者: 大和屋
天下統一編
120/178

120話 2人の計画

蘭は、暗くて狭い部屋に閉じ込められていた。

手足が縄で縛られているので、縄をほどいてあげると、蘭は俺に抱きついた。

「怖かったのよ、寂しかったのよ!?どうしてもっと早く見つけてくれなかったの?」

まるで子供みたいだ。

いつもの礼儀正しい蘭とは違い、声を上げて泣きじゃくっている。

次の瞬間、破裂音が洞窟内に響いた。

茶々が、蘭の頬をぶったのだ。

「茶々、何すんだよ!?」

思わず、声を荒げて言う。

「見苦しい。東様の側室たる者がそのように取り乱しては、天下人の親戚としての東様の立場が保てないでしょう?」

冷たい声に冷たい目。

やはり、正室と側室には決定的な差がある。

胸を張れるのは、正室のみ。

それゆえ、正室は強気になる。

だからといって、これはひどい。

長い監禁から解放されたのに、そのすぐ後に平手打ちされるとは、誰も予測できないだろう。

「廊下で私が挨拶をしても、返さない。貝合わせに誘っても、すぐ断る。私だって無視されて、寂しいのですよ。自分が一番、可哀想かわいそうなんて思ってはいけません。」

正室への挨拶をしないとは・・・

明らかな嫉妬だな。

「東様の側室になるという事は、正室である私に仕えるも同然。なのに挨拶を無視するとは無礼に等しい行為。今ここで謝りなさい。」

蘭は、土下座しようとした。

「やめろ!茶々、俺が悪かった。蘭にも注意しておくから、土下座は勘弁してやってくれ。頼む!」

「東様が言うのなら、良いですよ。」


こうして修羅場は、終わりを告げる二方ふたかたの謝罪と共に、幕を閉じた。

一件落着っと。



しかし、これは2人の企みだったのだ。

2人は自分たちにかまってくれないので、喧嘩をして東の注意を惹く事にしたのだ。

「私の言いたい事が良く分かりましたね。」

「ええ、目で訴えていましたもの。茶々様の目は、口ほどに物を言いますからね。」

優雅に紅茶を飲む、大滝家で2番目に権力を持つ者と、それに次ぐ位の者。

東は、まんまと罠にハメられたのだ。

「東様ったら、こんな罠も見抜けないとは、正室として恥ずかしいですわ。」

「ええ。」

女たちは、東に対して愚痴り始めた。

「料理ド下手。」

「不器用。」

「鈍感。」

「面倒くさがりや。」

「忘れんぼう。」

「ケチ。」

「冗談ド下手。」

「怖がり。」

「時々素直。」

「時々真面目。」

全て当てはまっている。

「へっくしょい!!」

東はくしゃみが止まらなかった。

「風邪でしょうか?最近、病が流行っていると聞いているので、休んだ方が良いのでは?」

「風邪じゃない!!」

鼻声だ。

「へ、へ、へ、へっくしょいっ!!」



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