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我らは信長家臣団  作者: 大和屋
天下統一編
114/178

114話 三成乱心

蝉の鳴き声が聞こえる。

「殿!」

三成の声が聞こえる。

「三成、どうした?」

写経をして、心を落ち着かせていた俺は、筆を止めた。

「秀吉様から、文が届きました。」

三成は、俺に文を差し出した。

俺は文を読み始めた。

『東殿へ

 お久しゅうございます。三成を重用していると聞き、安心しました。

 此度の用件は、私が遠江で盛大な祭りを開く事をお知らせする為です。

 私が武芸に秀でた者を集めていたのは、謀反を起こす為ではありません。

 民衆の前で、武芸を披露する為です。

 説明もせず、不信感を抱く行為をしてしまい、申し訳ございませぬ。

 是非、遠江の祭りに来てくだされ。』


なるほど、祭りか。

成り金で有名な秀吉の事だから、きっと金目当てだろう。

まあ、祭りなら民衆も喜ぶし、秀吉も利益の事だけを考えて祭りを開催する訳でも無さそうだから、問題無いだろう。

「殿、秀吉様は何と?」

「遠江で盛大な祭りを開くそうだ。」

「盛大な祭、ですか・・・」

あれ、どうしたんだろう?

三成が急に無口になった。

「あの御方はーっ!!」

・・・いつも真面目な三成が、発狂した。

三成は、柱にガンガンと頭を打ち付けた。

「やめろ、三成。脳細胞が死んで馬鹿になるぞ。」

「馬鹿だ、言われなくとも私は馬鹿だーっ!」

「三成、落ち着け。何でお前は発狂するんだよ?」

「私が秀吉様の言いなりになったせいで、秀吉様は善悪を判断できなくなってしまった!遠江の皆様、申し訳無いっ!」

三成は、拳で膝を殴った。

「私が秀吉様を甘やかしたせいだ・・・」

・・・もう知らん。

俺には分からん。

「秀吉様はっ、民の血税で祭りを開くおつもり!」

「秀吉殿だって、必ずしも利益だけを考えて開催する訳では無いと思うぞ。ほら、祭りなら民だって喜ぶしさあ。」

「遠江は祭りなどを開かなくとも、充分豊かな土地です!秀吉様はそれを分かっていて、祭りを御開きに・・・」

「だから、何で決めつけるんだよ。秀吉殿は農民出身ゆえ、農民の気持ちを誰よりも理解している。祭りを開けば民が喜ぶと思って、開催するんじゃ無いのか?」

少し苛立った声で、三成を諭した。

「・・・そうですよね。私っ、馬鹿ですよね!?」

三成はまた、頭を柱に打ち付けた。

「やめろという言葉の意味が分かるか、三成?これは命令だ。」

命令という言葉を放った瞬間、三成は座った。

「醜い部分を晒してしまいました、申し訳ございませぬ。」

「まずは落ち着け。」

俺は三成に水を飲ませた。

「だいたい、お前は真面目過ぎるんだよ。娯楽も、たまには良いじゃないか。」

「そ、そういうもんですかね?」

「そういうもんだ。」

「そういうもんじゃ無いと思いますがねえ。」

「そういうもんだ。」

押し問答になってしまった。

「まあ、そんな事はどうでも良い。俺は遠江へ向かう。準備を頼む。」

秀吉殿に会い、祭りのプログラムの打ち合わせをするのだ。


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