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我らは信長家臣団  作者: 大和屋
天下統一編
110/178

110話 気遣い

川で溺れた俺。

でも、側室の星が助けてくれた。


「北九州って、相当遠いなあ。」

俺は溜息をついた。

この前、小松が茶々の残した文を見た。

『決戦の地・北九州』とだけ書かれていた。

短期間で良くそこまで行けたな。

でも俺には、心強い味方がいる。

我が妹、奈々だ。

奈々なら、車を作ることだってできるだろう。

俺は奈々に、車を作って欲しいと書いた手紙を送った。


さて、2人も妊婦がいるとなると、大変だ。

猛暑の日は氷を入れた器を側に置き、食事も栄養満点のメニューにした。

日が進むにつれて、部屋を訪ねる回数も増やしたりした。

それに加えて、菊の体調が日に日に悪くなっていった。

そうなると、菊が面倒を見ていてくれていた勝は、蘭か星に育ててもらう事になる。

側室の2人にしか遊んでもらえない勝は泣き喚き、勝の泣き声のせいで妊婦の2人は睡眠不足で隈ができている。

俺の静かにしてくれない勝への怒りも溜まりに溜まり、俺は妊婦2人と宿屋で暮らす事した。

高遠城にいる家臣達の統率は、側室の星と蘭に任せた。

戦国時代の家臣にとって、主君の奥方は『第二の主君』なのだ。


2人の朝食は、卵焼きと、お粥。

たまに、果物を食べさせたりもする。

そうやって栄養を摂らせて、臨月に入れば食事の回数をさらに増やす。

風呂に入る時は、浴室を最大限密室に近づけた。

暖気を閉じ込め、お腹が冷えるのを防ぐ為。

他にも出産経験者から様々な意見を聞き、必要と思った事は取り入れた。

妊娠中は精神的にも支えてあげないといけないから、寝食を供にしてあげ、こまめに水分補給をさせた。

暇であるといけないから、枕草子や源氏物語を置いてあげた。

些細な気遣いを2週間の間、根気良く続けた。


◆◆◆◆ ◆◆◆◆ 蘭視点 ◆◆◆◆ ◆◆◆◆

私は大返しを成功させ、思ったより早く安土城に登城できた。

「失礼します。」

信孝様の病室に入った。

私は信孝様の呼吸を確認した。

虫の息だ。

次に脈を測ると、しっかりと脈を感じ取る事ができた。

信孝様の肌は乾燥していて、目を開ける事はない。

「信孝様。」

反応は無し。

「信孝様!」

次は大声で呼んだ。

すると、信孝様の指がかすかに動き、信孝様が目を覚ました。

「あなたは・・・?」

「私は大滝東の側室・蘭です。」

「そうか。」

「吐き気などの体調不良は続いていますか?」

「今は大丈夫です。」

何で敬語?

私は農家の出なのに。

私が信長様を救った東様の側室だからかな?

「空腹ですか?」

「小腹が空いています。」

「では、水菓子をお持ちしますね。」

私は信長様に頼み、苺を用意してもらった。

信孝様の体を軽く起こし、匙で苺を食べさせた。

信孝様が苺を食べ終えると、今度は水を飲ませた。

その日は、殆ど信孝様の部屋で過ごした。

看病には気遣いというものも大事なのだ。



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