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我らは信長家臣団  作者: 大和屋
天下統一編
108/178

108話 猛毒

六月上旬。

暑さも力を増し、俺は扇子を扇いでいた。

「東様。」

三成が話しかけてきた。

「げえ、三成!それどう考えても暑いでしょ!?」

三成は、和服を何枚も重ねた服装だった。

わたくしもそう思いました。が、わたくしの不満と、殿の面子を考えれば、暑さなど苦ではございません。」

「いや、ダメ!ブラック企業みたい。」

「はい、着替えてきます。」

二分後、三成はさっきよりも涼しそうな服に着替えていた。

「それでよし。で、用件は?」

「信長様から、高級品の品々が届いております。」

「ここへ持ってこい。」

「かしこまりました。」

暑いし、動きたくないから、三成に任せちゃおう。

三成なら何を言っても「かしこまりました」って言ってくれそうだし。

しばらくすると、三成が戻って来た。

「へえ、これが。」

差し出されたのは、漆塗りの文箱に、金の扇子に・・・西陣織も!

「きゃは、きゃははは!」

妙に高い声を出すと、三成がドン引きしていた。

「あれ?」

俺はプレゼントに添えられている和紙を見つけた。


『1年とは、早い。そなたへの感謝は、これだけではない。』


「きゃは、きゃははは!」

三成は白い目で俺を見た。

やった~、信長様に褒められた~。

俺の体は突然、踊りだした。

「ま、政宗殿~。」

三成は、通りすがりの政宗に話しかけた。

あ、政宗はちゃんと涼しい服だ。

「三成殿、どうなされたか?」

政宗は俺の踊りを見て、目を輝かせた。

「素晴らしい!!あの軽やかな動き。感じるぞ~、見てるこちらさえも踊りたくなるような魅力的な何か!!」

政宗は勢い良く踊り始めた。

政宗はもしかして、ダンスオタクなのかもしれない。

独眼竜政宗という異名を持つ政宗に、そんな一面があったのか。

「あ~~~、桜が散る頃にゃ~。梅雨がやってくる~。桜~舞う中~、酒飲もうぞ~。」

政宗作詞作曲の歌かな?

「あ、東様~。政宗殿~。」

三成はげっそりとした様子で去っていった。

三成は真面目すぎるかな。

政宗みたいな、真面目だけれど、冗談も言う人が好みなのだ。

こんな事言ったら、絶対三成怒るよね。

「きゃはは!!」




東が呑気に踊っている頃、近江ではある大事件が起きていた。

「信長様っ、信孝様が、毒にやられましたっ!」

「それは真か!?」

信長の三男・織田信孝が、毒にやられてしまったのだ。

「信孝、目を覚ませ!信孝っ。」

信長は必死になって、信孝の肩を揺すった。

「父・・・上。」

消え入りそうなかすれ声で、信孝は言う。

「毒見役は!?」

「毒見役の方は、失明してしまった御様子でございます!」

信長は舌打ちをした。

「東の側室に、畠という者がおったな?すぐに畠を呼べ!」

「はい!」

信長は全身に汗をかいていた。

「死ぬなよ、信孝。」

信長の言葉が届いたのか、信孝の指が僅かに動いた。

蘭、またまた活躍。

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