107話 噂話
俺のバカ殿顔は意外にも好評で、農民たちが集まってきた。
「殿様、とても面白いです。」
俺は調子に乗って、踊り始めた。
「あ~どっこいしょ~、どっこいしょ~。皆さん踊って歌ってください、御酒を飲んで~。」
俺は農民たちに酒を持ってくるようお願いした。
しばらくすると、農民たちが酒を持ってきてくれた。
ぐびぐびと音を立てながら酒を飲む。
農民たちも、御酒を飲む。
「ライブやりたいな。」
「東~、何、らいぶって?」
「広い建物の中で歌ったり踊ったりする事だよ。」
「へえ、出来なくは無いと思うよ。らいぶ用の建物、建てよっか?」
「ああ、頼む。」
俺はライブ用の建物を建設するよう、江に頼んだ。
俺専用のライブ会場にしよう。
俺しか使わないから、髪型のセットや道具、人件費や衣装の費用を除けば、経費は無し。
チケットはもちろん印刷じゃなくて、手書き。
側室のみんなに手伝ってもらおう。
会場の名前は・・・『スター・ザ・ジェットコースター』。
「らいぶ、私も手伝わせて頂きます。」
小松が言う。
「良いよ。」
「それと、秘密にしていた事があります。」
「・・・何だ?」
「茶々様が残した、文を見つけました。ご覧ください。」
俺は文を小松から受け取った。
『決戦の地・北九州』
とても短い文だった。
だが、茶々が俺とタイマンを望んでいるという事は分かった。
「へえ、茶々も中々やり手だねえ。ここまでするとは思ってなかった。」
俺は決闘を目前にしていると、興奮する。
体が火照り、暑い。
「水をお持ちしますね。」
小松は高遠城に走っていった。
「気が利く奥様です事。」
農民たちが小松を褒めた。
「殿様、最近、妙な噂が立っておるのです。羽柴の殿様が、武芸の秀でた者を集めていると聞きます。謀反を起こさぬと良いのですが・・・」
「・・・直ぐに信長様に伝えよう。」
「それと殿様、加藤亜希子と名乗る者が、伊達の殿様の領地で大道芸をしているんですって。」
加藤亜希子?
俺が近江で流行したと聞く病気の、原点として疑われる人物ではないか。
「ところで、近江で広がる病気は収まったのか?」
「はい。天下人・織田信長様の政策で収束いたしました。」
さすがは信長様だ。
「加藤亜希子という者は、確かに伊達の領地にいるのだな。」
「はい。」
「分かった。俺は帰るとしよう。お前たちも、励め。」
少し高圧的な態度で言ってみたが、農民たちは眉一つ動かさなかった。
今日分かった事
・殿様って、絶対的な存在だったんだなあ。
・噂話は便利
前々回で、小松が渡したダイヤのような塊・・・
いずれ、大きな役割を果たす事になります。
ダイヤのような塊の真実は、とても悲しい物です。
その正体は、最後までブクマを外さないで頂いた方だけが、知る事ができます。