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我らは信長家臣団  作者: 大和屋
天下統一編
105/178

105話 ダイヤのような塊

翌日、森蘭丸率いる大軍は、盛岡城に行軍した。

いつも隣にいる茶々の姿が無い。

少し寂しさを感じるが、いつまでも茶々の事ばかり考えてはいられない。

5月も後少しで終わる。

収支の確認をしなくては。

今までは茶々が財政を管理してくれていたが、茶々は家出中だ。

俺が財政を仕切る。

「手伝おうか?」

江が聞いてくる。

「心配はいらない。」

俺は支出と収入を記録した紙を睨んでいる。

計算のスピードが遅い為、時間がかかる。

受験において計算はかなり重要なポイントとなる。

高校受験でもかなり苦戦した。

奇跡の合格と言える。

「終わった~。」

俺は水を飲んだ。

喉が潤う。

「東、おつかれ。」

江が御茶を入れてくれた。

「サンキュー。じゃない、ありがとう。」

俺は礼を言うと、御茶を飲んだ。

御茶を飲み終わると、江を追い出して饅頭を食べた。

暇だったから、小松の部屋に遊びに行った。

小松は髪を整えていた。

戦国時代の女性は主に、垂髪と呼ばれる、真っ直ぐ後ろに髪を下ろす髪型だ。

「ちょっと相手してくれよ。」

「はい。」

俺は酒を盃に注ぎ、小松に渡した。

「美味ですね。」

小松は思ったより多く酒を飲んでいた。

小松の頬が赤くなっている。

頬紅のように。

それは酒のせいだろうか、それとも俺に対する・・・

いや、多分酒のせいだろう。

「東様、渡したい物があります。」

「ん?何だ?」

小松は懐から懐紙を取り出した。

懐紙を開くと、そこにはダイヤのような塊があった。

「何だこれは?」

「知りませぬが、先祖代々伝わる物でございます。何の役にも立たぬでしょうが、気持ちが高ぶった時に眺めると、自然と落ち着く物です。」

「そうか。」

俺はダイヤのような塊を、懐紙に包んで懐にしまった。

「少し、髪が乱れてしまったので、整えますね。」

小松は手鏡を見ながら、櫛で髪を整えていた。

その仕草が、何となく可愛かった。

「何を見ているのです?酒を召し上がってはどうですか?」

やはり、ばれていたか。

俺は酒を飲み干した。

ほんのり頬が熱くなる。

「さっきのやつ、一体何?」

「だから、知りませんって!でももしかしたら、あの塊は、あなた様の命を救ったりして?」

「そんな訳無いだろ、あれはただの塊だぞ?」

「・・・そうですよね。」

小松は笑った。

小松の笑っている顔が、一瞬、寂しげに見えた。

気のせいだろう、と思い、俺はもう一杯酒を飲んだ。

アルコールが体を満たす。

「蘭丸殿の軍勢、勝てると良いですね。」

「・・・いや、勝つ。絶対に勝つ。弱気になるな。」

「ごめんなさい。私、女ですから、戦の事なんて分かりませんから。」

そう言えば、蘭と小松と星と菊は、戦デビューしてないな。

機会があれば、大将を任せてみよう。

「じゃあ、また機会があれば出してやるよ。俺が目指すのは、女武将大量生産だからな。」

「女武将を増やすのですか?」

「ああ、そうだ。」

俺は話題を変え、ある面白い事を思い付いた。

「小松、俺にも化粧してくれ!!」

小松は振り向くと、俺の顔に白い粉をまぶした。


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