104話 チョコレートのフォンデュ
奈々がいなくなってしまった。
寂しい気もするが、奈々がある程度良い働きをしてくれれば、俺の朝廷での発言力も増す。
政略の駒として扱うのも気が引けるが、奈々本人が宮仕えを望んでいるのであれば問題無い。
基本、大名は暇である。
一、二を争う大名と戦をしていれば、話は別だが。
今や大滝家は御家安泰。
天下の織田家のお墨付きである為、南部家など恐れるに足らぬ。
「・・・縫い物でもするか。」
家庭科の授業のおかげで、ある程度の知識は身に付いた。
まあ、縫い物なんて殆ど母が担当してたのだが。
ちなみに、俺の曾祖母は女子力高めで、縫い物が得意だったそうだ。
暇だし、茶々もいないので、俺も縫い物をしてみよう。
どんなに不器用だったとしても、基礎的な知識は身に付いているはずだ。
平成、令和では、小学5年生になれば家庭科の授業が始まり、裁縫や料理などの一般的な指導を受ける。
俺も家庭科は得意では無かったが、苦手という訳でも無かった。
まずは、俺の家臣の妻であり、義理の妹でもある、江の着物に刺繍してみよう。
俺は奈々のタイムマシンに乗った。
まあ、茶々の部屋にも針はありそうだけど、不器用な俺はニードルスレイダーが無いと針の穴に糸を通せないのだ。
座席にリュックが置かれてある。
「やっぱり。」
俺と同様に不器用な奈々は、やはりニードルスレイダーを持っていた。
これがなきゃ家庭科の授業は無駄な時間となってしまうので、ニードルスレイダーは縫い針以上に大切に保管した。
その結果、縫い針を踏む人が多発した(ドアホ!)
奈々は頻繁に物を無くすので、ニードルスレイダーも頻繁に無くした。
それで、泣き喚きながらみんなに捜してもらったのだ。
自業自得と言えるだろう。
「よし!これで準備完了だぜ!」
俺はひとりごとを言いながら、江の部屋を訪ねた。
「江!着物をくれ!」
「何するの?」
「お前の着物に刺繍する。」
「へえ~、意外と気が利くのね。」
めっちゃ失礼な事を言いやがる。
まあ、元々、江の方が立場が上だったし、仕方ないか。
一時間後。
「できたー!」
俺は針をニードルクッションに刺して、薔薇を刺繍した着物を江にお披露目した。
「わあ、すごい!ありがとう!」
江は姫だから大人しいイメージを持っていたけど、正反対だった。
クールじゃなくて活発。
甘えん坊は嫌いなんだけどなあ。
「私、一生の宝物にするね!」
でも、江は素直でお世辞とかを言わないから、素直に喜んでくれる。
それが嬉しい。
虫歯は痛いよお~
初期虫歯なら痛く無いと思うから、虫歯を見つけたら歯医者さんへ行こう!
最近は削らずに、プラズマレーザーで虫歯を治療できるから、安心してね。




